あるゼネコンの無形固定資産が4年で190倍に急増、裏に欧州流の新戦略あり写真はイメージです Photo:PIXTA

準大手ゼネコンのインフロニアホールディングス(HD)は、前田建設工業、前田道路および前田製作所によって設立された共同持ち株会社だ。実は同社の無形固定資産は4年間で約190倍まで急増している。その裏には欧州の建設会社が取り入れている「ある戦略」が関係していた。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)

インフロニアHDの無形固定資産は
なぜ2回にわたって増加したのか?

 今回は、準大手ゼネコンであるインフロニアHDを取り上げる。インフロニアHDは、2021年10月に前田建設工業、前田道路および前田製作所によって設立された共同持ち株会社である。インフロニアHDの設立により、前田建設工業、前田道路、前田製作所の3社はインフロニアHDの完全子会社となった。

あるゼネコンの無形固定資産が4年で190倍に急増、裏に欧州流の新戦略あり日経NEEDS-FinancialQUESTのデータを基に、筆者作成 拡大画像表示

 上図は、インフロニアHD(21年3月期以前はその前身である前田建設工業)の無形固定資産の推移をまとめたものだ。これによれば、16年3月期に約10億円だった無形固定資産は17年3月期に約1630億円へと急増(図中の〈1〉)。その後、20年3月期には約1910億円へと更に増加した(同〈2〉)。

 この2回にわたる無形固定資産の増加は何によるものだったのか。インフロニアHDの決算書と戦略を照らし合わせながら解説していこう。