雪印メグミルク・ヤクルト本社、「円安影響」が同業2社で真逆に働いた事情Photo:PIXTA

大手乳製品メーカーである雪印メグミルクとヤクルト本社。同業界の2社だが、22年3月期の業績は雪印メグミルクが減収減益、ヤクルト本社は増収増益と明暗が分かれた。この要因は何だったのか。また両社のビジネスの特徴とは。決算書からひもとこう。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)

ヤクルト本社と雪印メグミルク
業績の明暗が分かれた要因とは?

 今回は、大手乳業・乳製品メーカーである雪印メグミルクと、ヤクルト本社の決算書を見ていこう。原材料を海外からの輸入に頼る食品メーカーでは、原材料価格の高騰や円安により収益性が圧迫されているが、両社にはそうした影響がどのように出ているのか。また、「ヤクルト1000」のヒットが伝えられるヤクルト本社の業績はどうなっているのか、決算書から読み解いていく。

 まずは、雪印メグミルクから見ていこう。雪印メグミルクは、2009年に日本ミルクコミュニティと雪印乳業が経営統合することによって生まれた大手乳業メーカーである。

 上図は、雪印メグミルクの決算書を図解したものだ。

 まずは、貸借対照表(B/S)から見ていこう。B/Sの左側(資産サイド)で最大の金額を占めているのは、有形固定資産(約1790億円)だ。ここには、乳製品や飲料・デザート類を生産するための工場のほか、支店などの有形固定資産が計上されている。