開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。

中学受験の家庭が「わが子のメンタルを守る」ために意識してほしい1つのことPhoto: Adobe Stock

ひとりっ子ほど自信を失いやすい

 子どもが目標に向けて勉強を進めていくためには、「自分にはできる」と自信を持たせることが必要です。

 ところが、往々にしてひとりっ子は自信を失いやすいのです。その理由は大きく2つあります。

親が子どもに託す理想が高すぎる

 1つの理由は、そもそもの理想が高いということ。

 親がひとりっ子に託している高い理想は、そのまま子どもに伝染していきます。しかし、現実は違っているので、いつも「理想に届いていない」状況に置かれます。

 たとえば、100を満点としたときに、現在50の子は「70の理想に届いていない」、70の子は「90の理想に届いていない」というわけです。

 そのため、優秀な子どもであるにもかかわらず「自分はダメだ」と自己評価を落とします。とくに、女の子の場合、完璧主義者が多いので、その理想に届かない自分にまったく自信が持てなくなります。

年長の子どもや自分よりたくましい子どもと接する機会が少ない

 もう1つの理由は、踏んでいる場数が少ないことです。

 学習塾でもサッカーなどのスポーツでもそうですが、小学3年生くらいまでは「自分は結構いけているかも」と思っていたひとりっ子が、あるときその自信が失われてしまうことがあります。

 強いお兄ちゃんやお姉ちゃんにコテンパンにされながら揉まれていた子どもと一緒にやってみて、圧倒されてしまうのです。

 もともと男の子は根拠のない自信を持っていますが、ひとりっ子の場合、こうしたことでくじけてしまうケースが多々あります。

子どもの自己肯定感を高めることが、親の最大の役割

 こうしたひとりっ子には、日頃から意識的に自信を持たせる必要があります。

 具体的には、親が正確な分析をして、過小評価を避けること。得意なことにフォーカスさせ、「自分はできる」を確認させてあげることです。

 これはひとりっ子に限りませんが、中学受験をさせるなら10歳くらいまではひたすら褒めて自己肯定感を高めてあげたほうがいいでしょう。

 私は「4年生までに180%まで高めておけ」と言っています。ここまで高めても、受験で競争しているうちにどんどん削られていきますから。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)