ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「チリってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

チリってどんな国?

 チリは南米大陸南西部に位置し、南北4300kmの細長い国がチリです。西部は太平洋に面し、東部はアルゼンチン、北部はペルーボリビアと国境を接します。

 このような細長い国となっているのは南北に走るアンデス山脈の影響です。高い山脈があると、山脈を越える物資の移動や人々の交流が難しいため、山脈に沿って人々は交流し、文化や影響が伝わっていきます。歴史的には領土の拡大や分割もありましたが、南北に細長い国土を持つチリは、山脈に沿って人々が交流したことを示す典型的な例といえるでしょう。

 北部は亜熱帯で、沖を流れる寒流のペルー海流に沿って降水量の少ない海岸砂漠(アタカマ砂漠)が広がります。中央部は地中海性気候で夏に乾燥しますが、南下するにつれて気温が下がり西岸海洋性気候となり、最南部では寒帯気候となります。

 中部にはブドウ、リンゴなどの果樹をはじめとする農牧業地帯が広がり、南部には森林が多く、フィヨルド(沈降海岸)も見られます。

 イースター島など太平洋に浮かぶ多くの島を領有し、島嶼部も含めれば東西にも広い国といえます。

鉱業が盛んな国

 チリの主要産業は鉱業で、銅鉱の産出は世界トップ、モリブデン鉱、リチウム鉱、銀鉱などの産出も世界有数で、輸出額に占める割合も鉱物資源関連が5割以上を占めます。

 1980年代から開放経済へと転換し持続的成長を遂げたことから中南米の「優等生」といわれました。

チリ共和国

面積:75.6万km2 首都:サンティアゴ
人口:1830.8万 通貨:ペソ
言語:スペイン語(公用語)、先住民の言語(マプドゥング語など)
宗教:カトリック66.7%、福音派とプロテスタント16.4%
隣接:ペルーボリビアアルゼンチン

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)