ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「アルゼンチンってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

アルゼンチンってどんな国?

 アルゼンチンは南米大陸の最南端大西洋岸に位置し、チリ、ボリビアパラグアイ、ブラジル、ウルグアイと国境を接します。

 中南米では、ブラジルの次に大きな国土を持ち、パンパと呼ばれる平原が広大な穀倉地帯となり、農牧業が盛んな国です。とうもろこし、大豆などの穀物生産、ブドウ、レモン、ライムといった果樹の生産、馬や牛の飼育頭数が世界有数です。こうした農牧業の生産品は輸出においても重要な役割を果たし、アルゼンチンの経済を支えています。

 パンパで牛の放牧に従事するガウチョ(アメリカのカウボーイと同義)は、アルゼンチンの畜産において経済を支えてきました。ガウチョが馬にまたがり、質素な服装で牧場を走り回る姿はよく紹介されますが、後進性のシンボルと見なされ、19世紀後半に弾圧されたこともあります。

 アルゼンチンの牛肉生産は飼育頭数とともに世界有数ですが、牛肉消費量も世界有数です。牛肉を塩だけで味付けして焼く「アサード」やカツレツのような「ミラネサ」がよく食べられています。

ヨーロッパ系住民が多い

 外交は、南米南部共同市場(メルコスール)の強化、欧米諸国や近隣諸国との関係、アメリカと中国のバランスを重視しています。住民はヨーロッパ系だけで8割を超え、ヨーロッパ系と先住民の混血を含めると95%以上を占めます。ヨーロッパ系はスペインだけでなく、イタリア系も多く、そのためイタリアはアルゼンチンの援助国としてトップとなっています。

アルゼンチン共和国

面積:278.0万km2 首都:ブエノスアイレス
人口:4586.5万 通貨:ペソ
言語:スペイン語(公用語)、イタリア語、英語など
宗教:カトリック62.9%、福音派15.3%
隣接:チリ、ボリビアパラグアイ、ブラジル、ウルグアイ

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)