ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
パキスタンってどんな国?
パキスタンは、南アジアに位置するアラビア海を望む国です。北部は中国やアフガニスタンと、東部はインドと、西部はイランと国境を接します。
国土は、西部及び北部の山岳地帯と古代インダス文明を生んだインダス川流域の平野部からなり、灌漑施設が整備されたインダス川流域では、米や小麦、綿花、サトウキビなどが栽培されています。
国名は、ウルドゥー語でパク(神聖な、清浄な)とスタン(国、地方)を合わせたもので、同時に国を構成する5つの地方名のパンジャブ・アフガン(現カイバル・パクトゥンクワ)・カシミール・シンド州の頭文字とバローチスタンのスタンを組み合わせたとされています(P+A+Ki+S+TAN)。
隣国インドとは、カシミール地方の帰属を巡って1947年以来三度の大規模な戦闘を交え、現在も軍事的緊張が続いています。
サッカーボールの生産地
パキスタンは世界の手縫いサッカーボール生産の70~80%を占める大産地です。イギリス植民地時代、牛皮革の取り扱いを忌避しないムスリムと安価な労働力の存在が、パキスタンでのボール生産の端緒となりました。
1970~80年代に生産工程の革新が進み、皮革パネルの縫製作業が簡易化されると、家庭内職を含めた下請け生産が拡大し、その労働力として安価な児童労働が利用されました。
1990年代半ばには、過酷な児童労働が世界的な問題になり、生産環境の改善が図られましたが、現在でも児童労働は解消されていません。
パキスタン・イスラーム共和国
面積:79.6万㎢ 首都:イスラマバード
人口:2億3818.1万 通貨:パキスタン・ルピー
言語:ウルドゥー語(国語)、英語(公用語)
宗教:イスラーム(国教)96.5%(スンニ派85-90%、シーア派10-15%)
隣接:インド、中国、アフガニスタン、イラン
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)