ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「ボリビアってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

ボリビアってどんな国?

 ボリビアは南アメリカ大陸中央部に位置する国で、ペルー、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン、チリと国境を接します。

 高山・高原の内陸国であるボリビアは、北部の低地は熱帯気候であるものの、アンデスの高原地帯は平均気温の年変化が少なく温和な高山気候です。標高3600mにあるラパスは世界一標高が高い首都で、年平均気温は9℃ほどと、年間を通して変化が少ないです。西部には6000m級の火山群が連なります。

国名に「多民族」の理由

 2000年代に入って、天然ガスの輸出計画を巡り、先住民や貧困層の多い山岳地域の西部の住民と、豊富な資源をもち地方自治の強化を求める東部の住民との対立が激化しました。

 2006年に史上初の先住民出身の大統領であるモラレス大統領が誕生すると、先住民の権利拡大、地方分権推進、貧富の差の拡大を抑える農地改革・土地利用制限、天然資源の国家による所有などを盛り込んだ新憲法が2009年に発布されました。それぞれの住民が合意できる政策を目指すことから、国名が「ボリビア共和国」から「ボリビア多民族国」へ変更されました。

 外交については近隣諸国やアメリカとの関係強化が基本でしたが、モラレス大統領はベネズエラやキューバ等の左派との関係を強めました。主要産業は工業と農業で、世界有数の埋蔵量を誇るリチウムは国内の鉱山公社が開発を進め、天然ガスも国有化し、国の経済力強化を図っています。

ボリビア多民族国

面積:109.9万km2 首都:ラパス
人口:1175.9万 通貨:ボリビアーノス
言語:スペイン語(公用語)、36の先住民の言語(公用語)
宗教:カトリック70%、福音派14.5%
隣接:ペルー、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン、チリ

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)