ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「スリランカってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

スリランカってどんな国?

 スリランカは、インドの東南端のポーク海峡を隔ててインド洋に位置する島国です。北部には平野が広がり、南部は山岳・丘陵地帯です。

 1948年にイギリス連邦内の自治領セイロンとして独立し、1972年に完全独立を果たして国名をスリランカ共和国に改め、さらに1978年に現在の国名に改称しました。スリランカとはシンハラ語で「聖なる光り輝く島」という意味です。

 高原地帯で栽培される紅茶(生産量世界第2位・2019年)のセイロンティーは、植民地時代19世紀半ばにコーヒープランテーションがサビ病により壊滅的打撃を受け、その代替作物として導入されたものです。

25年続いた民族紛争

 スリランカは長らく民族対立に苦しんできました。紀元前、北インドから移住した仏教徒のシンハラ人国家が成立していましたが、インド南部から北部地域へヒンドゥー教徒のタミル人が侵入しました。

 さらに植民地時代には、プランテーションの労働力として大量のタミル人が移り住み、タミル人人口が増加しました。

 独立後、政府がシンハラ語のみを公用語としたり、仏教を準国教扱いにする政策を採ったため、両者の対立は激化。1983年、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が、北・東部の分離独立を掲げ全土で武力闘争を繰り広げ、LTTEが制圧された2009年まで、実に25年間も内戦が続きました。

スリランカ民主社会主義共和国

面積:6.6万㎢ 首都:スリジャヤワルダナプラコッテ
人口:2304.4万 通貨:ルピー
言語:シンハラ語(公用語)、タミル語(公用語)、英語
宗教:仏教70.2%(国教)、ヒンドゥー教12.6%、イスラーム9.7%

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)