ソニーがウェブ3.0時代にAR技術開発で圧倒的に期待される理由Photo:SOPA Images/gettyimages

ソニーは、ウェブ3.0に欠かせないAR技術など最先端分野での勝機を狙っている。具体的には、ゲームや音響などの既存技術とARを新しく結合させようと強化している。その一つの成果として、「ToF(Time of Flight)AR」と呼ばれるソフトウエアを公開した。ToF ARによって、スマホ1台でバーチャル・ユーチューバー=Vチューバーに変身できる。ARの世界は一段と身近になるだろう。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

ソニーが「拡張現実=AR」で期待されるワケ

 世界各国のIT先端分野で「拡張現実=AR」に関する技術開発が加速している。背景には、ITビジネスの成長が鈍化しているという世界的な懸念がある。一例として、米国ではサブスクリプション・ビジネスの成長が鈍化している。そうした状況下、「ウェブ3.0」時代の本格到来を狙い、米アマゾンやマイクロソフト、グーグルなどはクラウド事業の強化に集中し始めている。

 わが国も、そうした変化に確実に対応しなければならない。先行きは楽観できないが、ウェブ3.0は、わが国経済が成長を目指すチャンスになるだろう。そのために重要な役割を発揮すると期待される本邦企業の一つがソニーである。

 現在、ソニーはマイクロソフト、米マジックリープに次いで世界第3位のAR関連特許件数を持つ。また、超高純度の半導体部材などの分野でも本邦企業の競争力は高い。日本政府は、労働市場の構造改革などを徹底して進め、成長期待の高いAR分野など世界経済の先端分野にヒト・モノ・カネを再配分する環境の整備を急ぐべきだ。