東京五輪の大会スポンサー選定を巡る汚職事件で出版大手KADOKAWAの角川歴彦会長が逮捕され、衝撃が広がっている。当初、同じ出版業界から講談社もスポンサーに名乗りを上げていたとされるが、2社の命運を分けたものとは何か。ビジネス誌「プレジデント」の編集長を務めた出版業界出身の人間として、その要因の一つではないかと思う「講談社にあってKADOKAWAにない」ものを挙げたい。(イトモス研究所所長 小倉健一)
出版大手KADOKAWAの
角川歴彦会長逮捕の衝撃
東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、東京地検特捜部は9月14日、大会スポンサーだった出版大手KADOKAWAの会長、角川歴彦(つぐひこ)容疑者を贈賄容疑で逮捕した。
角川氏の逮捕容疑は、スポンサー選定の際に賄賂を渡したというものだ。KADOKAWAの専務だった芳原世幸(としゆき)容疑者らと共謀し、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者に有利な取り計らいをしてほしいと依頼。その見返りとして約7600万円の賄賂を渡したとされる(立件の対象は、3年の時効にかからない約6900万円のみ)。
角川氏の逮捕を受けて、KADOKAWAは「当社グループの読者やユーザー並びに、作家・クリエイターをはじめ、関係するすべての皆様に、多大なご心配とご迷惑をおかけしており、重ねて深くお詫び申し上げます」とするコメントを発表して、謝罪した。
当初、同じ出版業界から講談社もスポンサーに名乗りを上げていたとされるが、2社の命運を分けたものとは何か。筆者はその背景に、「講談社にあってKADOKAWAにない」ものがあると考えている。
それを踏まえた上で、KADOKAWAの再生に向けてある提案をしたい。