答えのない時代に、メモが最強の武器になるーー。
そう言い切るのは日本一ノートを売る会社コクヨで働く下地寛也氏だ。トップ社員である彼自身が、コクヨ社内はもちろん、社外でも最前線で働くクリエイターやビジネスパーソンにインタビューを重ねてきた。そこから見えてきたことは、
◆トップクラスの人達は、メモを取り続けていること
◆そして、頭の中で考えるのではなく、書きながら考えていること
だった。
この連載では、『考える人のメモの技術』の著者である下地氏が、実際に集めたメモをベースに、あらゆる問題解決に効くメモ術を紹介していく。
「不」こそ、ニーズのはじまり
「情報をメモする」というと、役立つ情報をメモして活かすとイメージがありますが、メモしてほしいのは、必ずしもポジティブなものばかりではありません。
不満、不平、不安、不便、不調、不合理など、ネガティブな「不」の要素もメモしていきましょう。
「こうすると不満が出るのか」とか「ダメな組織の共通点はこれか」のように、「不」の気づきは、課題やニーズの発見につながります。
不の事象と、そこから得た気づきをメモする
仕事や打ち合わせで、何かモヤっとした「不」の出来事に触れたら、積極的にメモしておきましょう。
同時に、気づきとして「不の原因は何かな?」「不を軽減するにはどうすればいいかな?」とちょっと考えて、思いつくことをメモします。
気づきには「▶」などで印をつけておきましょう。
たとえば、このような感じです。
▶ 理屈ばかり話すと飽きるか
▶ インパクトのある話を冒頭で試そう
▶ 部下の視点に降りて伝えていないのではないか
▶ 部下はどのように仕事を見ているかイメージする
▶ 駅員にとってはよくあることだからか、全然申し訳なさそうではない
▶ 提供者と顧客での頻度の違いで、失礼がおこっていないか
問題のパターンに気づく力をつけよう
このようなメモをすることで、自分が問題解決をするときの問題のパターンを見つけやすくなります。
今後、「問題解決」より「問題発見」の能力がある人のほうが重要になるとも言われています。そういった意味でも「不」のパターンを知っておくことは有効です。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という江戸時代後期の平戸藩主、松浦静山の言葉(ヤクルトや楽天の監督だった野村克也氏が言って有名になりましたが)にあるように、上手くいかないときは何らかの失敗の法則があるはずです。
その法則に気づくためにも、「不」の気づきをメモすることで重要なヒントが得られるようになるでしょう。
『考える人のメモの技術』では、今日から使えるメモの技術をたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
(本原稿は、下地寛也著『考える人のメモの技術』から一部抜粋・改変したものです)