答えのない時代に、メモが最強の武器になる――。
そう言い切るのは日本一ノートを売る会社コクヨで働く下地寛也氏だ。トップ社員である彼自身が、コクヨ社内はもちろん、社外でも最前線で働くクリエイターやビジネスマンにインタビューを重ねてきた。そこから見えてきたことは、
◆トップクラスの人達は、メモを取り続けていること
◆そして、頭の中で考えるのではなく、書きながら考えていること
だった。
この連載では、『考える人のメモの技術』の著者である下地氏が、実際に集めたメモをベースに、あらゆる問題解決に効くメモ術を紹介していく。(初出:2022年9月1日)
そもそも「考える」とは?
「あの人はあまり考えていないよね」といった会話になることありませんか?
その一方で「自分は、しっかりと考えられているか?」と思うと、不安になる人もいるでしょう。
「考える」と言っても、基本的にはゼロからイチを生み出すヒラメキのような行為ではありません。
ある「状況」に対して、自分の過去の知識や経験、価値観などが蓄積された「考え方」を使って、手に入れた情報を組み合わせたり、並べ替えたりしながら再構成する、つまり「考える」とは「編集」することによって、自分なりの「答え」にたどり着く行為なわけです。
「考えている人」と「思考停止している人」の差
考えている人は状況をしっかりと捉え、自分の考え方を常にアップデートしています。
そしてインプットされた情報を編集してアウトプットを出しています。
他方、思考停止している人は状況の捉え方も甘いですし、
他人の考えや決まったルールに流されて、条件反射的に答えを出してしまいます。
本当に考えているのであれば、
「これは決まったパターンの常識にはまり込んでいないかな」と状況を分析して、
自分の「考え方」に照らして思考を深掘りしていかなければいけません。
そして、本当に考えたいと思う時はメモをするべきなのです。
メモを書くことで思考は前進する
なぜかというと、メモが思考を前進させるアクセルの役割を果たすからです。
考えたイメージが頭にないとメモはできません。
「何が大切なのだろう」
「本質的にはどういうことかな」
「どう組み合わせればいいだろう」
などと自問自答をしながら、頭に思いついたことをメモすると考えがドンドン進んでいきます。
厳しい言い方かもしれませんが、もしメモを書けないなら、それは考えていない証拠です。
考えているからメモの手が進むのです。
『エマニュエル・トッドの思考地図』の中で著者エマニュエル・トッド氏は「思考とは手仕事」と言ってます。
メモは正に手仕事ですが、これは考えるという行為において試行錯誤をするためであり、書いては考え、考えては書くということが今後ますます必要になってくるわけです。
『考える人のメモの技術』では、今日から使えるメモの技術をたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
(本原稿は、下地寛也著『考える人のメモの技術』から一部抜粋・改変したものです)