アサヒ飲料とダイドードリンコが自動販売機事業で提携し、自販機の運営を一部統合すると発表した。しかし両社の提携は、飲料業界の自販機事業再編・撤退戦の「号砲」ともいえる。一体どういうことか。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
業界3位のアサヒ飲料と
6位のダイドードリンコが提携
飲料業界の自動販売機ビジネス「撤退戦」の号砲か――。業界3位のアサヒ飲料と6位のダイドードリンコは、自販機事業で包括的業務提携契約を締結し、両社が商品を直販する自販機の運営を一部統合すると9月15日に発表した。
共同持ち株会社「ダイナミックベンディングネットワーク」を2023年1月23日付で設立し、アサヒが33.4%、ダイドーが66.6%を出資する。新会社の社長にはダイドーの笠井勝司取締役執行役員が就任する。
新会社はアサヒ子会社の販売会社3社、ダイドー子会社の同3社の計6社を束ねる。約20万台の自販機を扱い、売上高規模は約1000億円となる見込みだ。「18年からアサヒとダイドーがお互いの自販機に商品供給を行って以来、両社の首脳級が不定期で会合の場を持った。経営企画系などの現場レベルでは定期的に打ち合わせを行い、その中で提携話が進んでいった」と、交渉に携わった幹部は舞台裏を明かす。
今回の提携について、オペレーション効率の改善や相互販売商品の強化、製造工場を自社で持たないダイドーの商品をアサヒの工場に製造委託して原価低減を狙うなど、発表内容は一見“前向き”なものが多い。
しかし両社の提携は、飲料業界の自販機事業再編・撤退戦の号砲ともいえる。