答えのない時代に、メモが最強の武器になるーー。
そう言い切るのは日本一ノートを売る会社コクヨで働く下地寛也氏だ。トップ社員である彼自身が、コクヨ社内はもちろん、社外でも最前線で働くクリエイターやビジネスパーソンにインタビューを重ねてきた。そこから見えてきたことは、
◆トップクラスの人達は、メモを取り続けていること
◆そして、頭の中で考えるのではなく、書きながら考えていること
だった。
この連載では、『考える人のメモの技術』の著者である下地氏が、実際に集めたメモをベースに、あらゆる問題解決に効くメモ術を紹介していく。
書きながら考えることで思考に集中できる
考える力がある人は、問題解決をするときも、メモにツラツラと書きながら「ああでもない、こうでもない」と思考をめぐらして考えています。
一方、考えることが苦手な人はあまりメモを書きません。何か2、3行、考えるべきテーマと諸条件を書いただけで手が止まり、「ウ~ン、ウ~ン」と悩みだします。
ここで意識してほしいことは「言葉で書けないことは考えていないのと同じ」ということです。そもそも考えるとは、モヤモヤと頭に浮かんだ困りごとやイメージを言語化しながら深めていく行為です。
現状 → 課題 → 打ち手 の順番でメモしていく
では実際に、どのような順番で書けばいいのでしょうか。
まず、紙の左上に考えるべきテーマを書きだします。これはかなり重要で、そうしないと考えている途中で思考が脱線しがちになります。
次に、内容を考えはじめますが、いきなりアイデアをドンドン書き出すことはしません。
「現状」「課題」「打ち手」。
この順番で書きながら考えることが、とても大切です。
紙を3分割して問題解決を1枚で出し切る
たとえばA4用紙1枚に問題解決のメモを書き出すとすれば、
左1/3に「現状」、
真ん中1/3に「課題」、
右1/3に「打ち手」
としてみます。
例として「残業削減の打ち手」を考えるとしましょう。
左1/3の「現状」のところに、
・現状の残業時間
・残業の削減目標数値
・残業に対するアンケート結果
・残業に対するヒアリングの主だった声
・他社の残業削減の事例
など、考える上で必要な情報を書き出します。
次に、真ん中1/3の「課題」のところに、
・なぜ残業時間が増えているのか、主な原因は何か
を書き出して、原因を整理し課題の本質を探していきます。
最後に、右1/3の「打ち手」のところに、
・どうすれば課題は解決できるのか、具体的な打ち手は何か
を書き出し、効果的かつ実現できそうな方法を探っていきます。
この「現状」「課題」「打ち手」という順番は、あらゆるアウトプットを考えるときに有効な流れになります。ぜひ、この順番を意識してメモを書きながら考えてみてください。
『考える人のメモの技術』では、今日から使えるメモの技術をたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
(本原稿は、下地寛也著『考える人のメモの技術』から一部抜粋・改変したものです)