コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日本製鉄、住友金属鉱山などの「製鉄/金属製品」業界6社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
JFEホールディングスが
前年同期比で4割超の大幅増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製鉄/金属製品業界の6社。対象期間は2022年2~6月の四半期(6社はいずれも22年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・日本製鉄
増収率:27.7%(四半期の売上収益1兆9192億円)
・住友金属鉱山
増収率:21.5%(四半期の売上高3577億円)
・ミネベアミツミ
増収率:1.1%(四半期の売上高2510億円)
・日立金属
増収率:22.0%(四半期の売上収益2768億円)
・JFEホールディングス
増収率:41.0%(四半期の売上収益1兆2536億円)
・神戸製鋼
増収率:17.2%(四半期の売上高5428億円)
製鉄/金属製品の主要企業6社はいずれも前年同期比で増収となっていて、ミネベアミツミを除く5社は2桁増収だった。特にJFEホールディングスは前年同期比で4割超の大幅増収となっている。
世界的に鋼材の原材料価格が高騰している関係で製品の販売価格が上昇している状況だが、鋼材の需要は高く、各社とも好調だ。ただ、JFEが圧倒的な増収率だったのはなぜか。
次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに、JFEの高い増収率の理由と、反対にミネベアミツミが1.1%増という低めの増収率だった要因を解説する。さらに、日本製鉄とJFEホールディングスが「強気の値上げ」で利益面でも高水準な業績を上げている実態をお伝えする。