「本当に賢い人」は決してやらない思考の凡ミス3選
因果関係を分析するうえで気をつけるべきケースを整理しましょう。
1つ目は、因果関係を逆に捉えてしまうパターンです。「Aが原因でBが起きた」と思っていたけれども、実は「Bこそが原因でAが起きていた」というように、原因と結果が真反対だった場合ですね。
2つ目は、他の原因が存在するパターンです。これは、「Aが原因でBを引き起こした」と考えていたところ、実はCというできごとがあり、そのCが本当の原因だったという構図です。
3つ目は「単なる相関と因果の混同」です。これは「Aが原因でBを引き起こした」のではなく、実はAもBも「別の原因C」が共通して引き起こしているケースです。
Cが原因でAとBが引き起こされるせいで、AとBは同時に現れやすい。そのためAとBに因果関係があると思い込みがちですが、実際はAとBは単なる「相関関係」で結ばれているに過ぎないので気をつけましょう。
具体例を紹介します。下図は「コウノトリの生息数が減った」という事実と、「赤ちゃんの出生数が減った」という事実がそれぞれあっても、「コウノトリが減ったから、出生数が減った」のではなく、実際には「都市化」が両者に共通の原因だったパターンです。
この場合、都市化の進行でコウノトリの生息可能地域が減った、また子育てが難しくなり出生率が低下した、というのが真の因果関係になります。
思考が浅い人は「基礎比率」を頭に入れていない
因果関係を見誤らないためには、「基礎比率=もともとの割合」を考慮することも重要です。例えば、「日本では会社の社長のうち65%が長男」というデータが与えられたとします。ここで、「なるほど、長男ほど出世しやすいのか」と結論を急いではいけません。
「基礎比率=もともとの割合」を考えてみてください。そもそも、人口に占める長男の割合は必然的に高く、次男、三男…と下るにつれて人数も減っていくいわけですから、社長に占める長男の割合が大きくなるのは当然の結果です。このように基礎比率を考慮すると、因果関係を誤解するリスクを減らすことができます。
(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『遅考術』刊行記念セミナーのダイジェスト記事です。「The Salon」の公式Twitterはこちら)