頭のいい人は、「遅く考える」。遅く考えられる人は、自分自身の思考そのものにも注意を払い、丁寧に思考を進めている。それによって、間違いが起こりやすい場面に気づき、対処できるので誤りを減らすことができる。そして、よいアイデアや仮説にたどり着くまで、状況に応じた思考の進め方で粘り強く考え続けられる。そうして、多様な可能性を吟味する想像力や、創造性まで発揮できるのだ。
その、遅く考えること――意識的にゆっくり考えること――を「遅考」(ちこう)と呼び、それを使いこなす方法を紹介する『「遅考術」(ちこうじゅつ)』が発刊された。思考のエラーを実感できる52の問題と、思考過程がわかる対話形式で思考力を鍛えなおすことができる。似非科学や陰謀論への対処法など、日常で使える思考の道具も満載。自分の思考にエラーが発生しやすいパターンが理解でき、自分にとっての思考の弱点(勘違い、早とちり等)の傾向が見える。それを認識し、適切な遅考術を用いることで、じっくり深く考えるための「考える型」が身につく。
「深くじっくり考えられない」「いつまでも、同じことばかり考え続けてしまう」という悩みを解決するために生まれた本書。読書猿氏(ベストセラー『独学大全』著者)からは「結論に急き立てれる我々が『考える』ことを取り戻すために」と推薦の言葉も届いている。この連載では、本書の内容の一部や、著者の植原亮氏の書き下ろし記事を紹介します。
遅考術
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