和室はあった方がよいか、ない方がいいのか

 筆者の現在の住まいは、木造2階建て、庭あり、3LDKでうち和室が2つ、洋室が1つである。このうちリノベーションが施されているのはLDKで、洗面所はベースがやや古めだが蛇口がニュウーと伸ばせるタイプのものに付け替えられている。
 
 冒頭で紹介した『新築物件に実は要らなかった設備』の第5位には和室がランクインしたが、この和室が筆者宅にはふんだんにある。1階和室は筆者と猫の巣(仕事部屋兼娯楽スペース兼寝室)、2階和室が物置だ。物置というが、当初は子どもが元気に遊べる空間にするもくろみだった。室内用ジャングルジムとすべり台を置いていたが、やがて見向きもされなくなり、現在物干しとして使用されている。
 
 和室は日本の趣を感じさせ、幼い頃過ごした祖父母宅を思い出させてくれる。我々日本人にとって和室は原風景であり、食事や宿泊の際に案内される和室はやはりテンションを上げてくれるものである。
 
 しかし和室のある家に住むと、ちょうどい草の匂いが薄れていくのと同程度のスピードで和室の神々しさに慣れていき、やがて飽きる。仏間、お座敷、茶室などの明確な利用目的があらかじめない限り、和室はやがて物置などになる運命である。
 
 筆者も1階和室(筆者の巣)が、和室であることの不便さは感じている。ふすまよりドアの方が、障子よりカーテンの方が使い勝手はいい。が、慣れてしまえば不満に思うほどのレベルでもない。
 
 障子は和室の趣を強く感じさせてくれるが、ペットや小さい子どもがいる家で障子が無事でいられるはずもなく、案の定、我が居室の障子はビリビリになっている。直してもどうせいずれ猫がまた破るに違いなく、破れるがままに放置してあるが、これは「そういうもの」という認識になればそのうち気にならなくなる。
 
 対外的な見栄えを気にするなら我が家の1階和室は言語道断だが、住む分にはちょっとした不便さはあるもののなんら問題ない。
 
 一方、物置と化している2階和室は、日当たりと風通しがよく、風通しが良すぎて室内干しした洗濯物がたびたびふっとばされているほどである。その代わり乾き方はすこぶるよろしく、浴室乾燥機に取って代わる機能を有している。
 
 物件の内覧の際、「和室は選ぶのを避けるほどの不穏な要素ではない」というのが個人的な意見である。