明らかな欠陥でも我慢できることがある?

 これはリノベーション住宅選びのポイントというより、筆者が選んだ物件が残念だったというだけの話なのだが、トイレが壊れている。温水洗浄便座がついている程度には新しいが、連続して水を流すことができず、2回目を流すまでにタンクに水がたまる5分強を待たねばならない。壊れているからである。
 
 住み始めてそれを知った時は「なんたる欠陥住宅」と憤慨したが、不動産業者に伝えても一向に直してもらえなかった(他に直してもらう重大な箇所が複数あり、トイレは後回しにされ、結果的にうやむやに放置されることとなった)。家族でトイレに行きたいタイミングが重なると、これは不便である。
 
 しかし、家族の成長があった。娘がトイレを覚えて今や我が家のトイレ使用者は筆者と妻と子の3人となったが、我が家族は前もってお互いの尿意を確認し合い、時に譲り合い、時に励まし合い、水がたまるまで「空白の5分間」を、さほど不自由と感じずに扱えるようになっていった。「壊れたトイレ」という問題を前に家族が結束することで、連帯感や譲り合い精神が育まれていったように思う。
 
 和室も、このトイレもそうだが、人の住環境への適応能力はすさまじいものがある。よほどのことでない限り、不満は乗り越えて生活していけるのである。
 
 そう実感している筆者ではあるが、それでもどうしても我慢しがたい箇所が三つある。それは何か。

足を絡め取りにくる雑草と、気を狂わせにくる網戸

 一つ目は、「庭」である。

 敷地内には小さな花壇と、土の上に石をまぶした砂利道がある。ここに雑草がすさまじい勢いで生えてくる。庭は子どもと遊ぶ場所として活躍してくれるが、この雑草だけは頂けない。

 辺りをうろつく野良猫のことを思うと除草剤をまくのは気が引け、花壇は防草シートで覆ったが隙間から雑草が、砂利道は石を覆って人の足を絡め取るほどの量の雑草が容赦なく生えてくる。草むしりは重労働であり、庭のメンテナンスとは根気強く向き合っていかねばならない。「庭の、土とコンクリートの割合はどれくらいか」は物件選びの際にぜひチェックポイントとされたい。
 
 二つ目は「立て付けの悪い網戸」である。

 拙宅の網戸は古いらしく、動かす度に幽霊の絶叫のような音をたてるのがデフォルトである。しかし、中でも「少しでも動かすと7割の確率で外れる網戸」が3枚ある。これら網戸はフレームからもうおかしくなっているので、外れた後もう一度はめようとしても非常に時間がかかる。
 
 ただひたすら網戸をはめようと5分、10分、15分とガタガタ格闘する時間が頻繁に訪れる日常を、おそらく多くの人は経験したことがないはずであるが、このストレスはすさまじい。

 そのダメな網戸が、猫の出入りの関係で頻繁に開け閉めされる場所にあったのも運が悪かった。
 
 網戸はいくらか費やせば新品と交換できるが、欠陥だらけの賃貸物件を自費で修繕してあげるのはしゃくな気もするので、意地を張ってストレスに耐えるのが現方針である。