セミナーでの質問のイメージ写真Photo:PIXTA

法改正があり、10月からパートタイマーなどを対象に「厚生年金・健康保険の適用拡大」が施行された。これに関連して、ファイナンシャルプランナー(FP)である筆者はパートタイマー向けに多くのセミナーを実施した。その場で寄せられた「よくある五つの疑問」を取り上げ、回答していきたい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

パートタイマーは5要件全てを
満たすと「社会保険に加入」

 10月よりパートタイマーなど短時間労働者向けに「厚生年金・健康保険の適用拡大」が施行された。前回は『「パート収入の壁」に法改正!“働き損”を生む複雑制度が簡単図解で丸わかり』と題して、知っておきたい「壁」の三つのポイントについて解説した。

 パートタイマーが最も知りたい「働き損」が発生する年収、それを解消できる年収を表したグラフも掲載しているので、ぜひ前回記事も参考にしていただきたい。

 法改正を踏まえて、1年ほど前から生活協同組合(生協)の組合員(顧客)向けに、「世帯収入アップ大作戦!パート収入の壁の乗り越え方」というオンラインセミナーを実施したところ、どの生協でも主催事務局が驚くほど、いつもより多数の申し込みがあった。それだけ関心が高いのだろう。

 セミナーで「パート収入の壁」の話を聞くと、参加者は「自分の場合はどうなんだろう」と次々と疑問が湧くので、いつもより質問時間を長めに取るようにしている。今回は、パートタイマーから寄せられた「よくある疑問」を取り上げることにする。

 その前に今回の改正を整理しよう。パートタイマーは、次の表にある五つの要件を全て満たしたとき、勤務先の社会保険に入ることになる。

 今回の法改正で「適用拡大」になった要件は、(1)の従業員数と(4)の勤務期間見込みの2点。勤務先の従業員数は9月までは「501人以上」だったのが、「101人以上」、勤務期間の見込みも「1年以上」から「2カ月超」となったため、対象者は格段に増加する。

(3)の月額賃金の要件「8万8000円以上」は、年収換算すると約106万円であることから便宜上「106万円の壁」と言われている。実際には、「月額賃金」で判定することを知っておきたい。

 では、以下のような「よくある五つの疑問」に答えていこう。

(1)月額賃金は8万8000円より少ないけれど、残業が多い月は超えそう。そうなると社会保険加入となるか?(今のところ、入りたくない)

(2)パートを三つ掛け持ちしている。給与を合計すると「月8万8000円」以上になるが、社会保険に入ることはできるか?(入りたい)

(3)「106万円の壁」と「130万円の壁」の違いがよく分からない

(4)私は夫の社会保険の扶養でいたいと考え、「130万円の壁」の内側になるように年収120万円程度で働いてきた。パート先の従業員数はおよそ300人。10月からどうなる?

(5)「1日6時間×週3日」の契約で働いている。貿易業務のため時給は1600円と高めで、月額賃金は11万円を超える。「106万円の壁」を越えたことになり、社会保険に加入することになるか?(勤務先従業員は150人)