2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。
伊勢神宮での出来事
伊勢神宮の近くで講演を頼まれた際、講演がはじまる前に知人たちと4人で詣でたときのことです。
拝殿で1分間ほど手を合わせ、帰ろうとしたとき、拝殿に掛けてあった白い布(とばり)が、持ち上がったのです。
風が吹いていたわけではありません。まわりの木々を見渡しても、まったく揺れていません。
それなのに、90度くらいまで、金属板のようにまっすぐ固まったまま、スーっと上がりました(1分間ほどその状態が続き、布が下りるときも、鉄板のようにまっすぐになりました)。
「不思議なこともあるもんだな」と思い、伊勢市の講演会でお話をしたところ、伊勢市の方が、こんなことを言っていました。
「ダライ・ラマ氏が伊勢神宮を訪れ、手を合わせて帰ろうとしたときにも、同じように布が上がったそうです。霊的な力を持っている人が参拝をした場合、白い布が上がることがあるようです。ですが、今まで90度上がった例は聞いたことがありません。神様から祝福されたのかもしれませんね」
神社は「ありがとう」を伝えるところ
この一件は、私たち4人が霊的にすぐれていた、という話ではありません。私たちがそうだったように、「誰でも、神の祝福を受けることができる」のです。
じつは、神社というのは、「お願いごと」をしに行くところではなく、「感謝」をしに行くところです。
私たち4人が伊勢神宮を詣でたときも、誰ひとり「お願いごと」はしませんでした。1分間、ただひたすら「ありがとう」を言い続けたのです。
そもそも「祈り」の本来の意味は、「意」に「宣」と書き、「意宣り」であり、「意のままに沿う」こと。
つまり「あなたの仰せに従います。あなたが望むように生きています。ありがとうございます」という意味でした。
そして「願い」は、「ねぎらい」が語源です。「ねぎらい」とは、「希望を叶えてください」ではなく、「よくしてくださってありがとうございます」と感謝することでした。
「祈り」も「願い」も、「夢や希望を叶えてもらいたいとき」に使う言葉ではありません。どちらも、神や仏に対して、
「すでに、たくさんの恵みをいただいています。ありがとうございます」
と感謝を伝える言葉なのです。
神社は、「○○○をしてください」「○○○を叶えてください」とお願いをするところではありません。
「今の自分がいかに恵まれていてありがたいか」を「感謝しに行く場所」ということになります。
ただ自分が生かされていることに感謝し、手を合わせて「向こう側」に伝えることで、神様を味方に付けることができるようです。