開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、「子どもの国語力を伸ばすコツ」について特別に一部を抜粋して紹介する。

子どもの国語力を家庭で伸ばす1つのコツPhoto by Adobe Stock

読解力アップは「単語の知識」から始まる

 国語の学力を伸ばすには「読解力」が必須です。国語以外の教科についても、テスト問題も参考書も日本語で書かれているわけですから、読解力はすべての基本と言えます。

 そして、どんなに長い文章も単語の集合体です。だから、読解力をつけるには、まずはボキャブラリーを増やすことから始めねばなりません。

 VAMOSに通う子どもが、私に聞いてきたことがあります。

「お米と、ご飯と、稲って、どう違うんですか?」

 いい質問をしてきたものだと嬉しくなって、私はその場で私なりの解釈を丁寧に教えました。この子は今後、3つの単語を使い分けることができるし、さらに興味を広げて調べれば、玄米と白米と餅米の違いなども知り、どんどん語彙を増やしていけるでしょう。

大人の言葉で子どもと話す

 ところが、多くの子どもは、すべて「ご飯」か「お米」で片づけてしまうのです。その理由として、親がそうだからというのがあります。ボキャブラリー豊かな子どもに育てるためには、家庭で多くの単語を使っていることがとても重要です。

 子どもかわいさから赤ちゃん言葉を使って、蕎麦もうどんもソーメンも冷や麦もスパゲティも「ツルツル」で済ましていれば、その子の語彙力は著しく損なわれます。

 いわゆる性的な内容などは別として、年不相応という理由で子どもが知ってはならない言葉はありません。普段から大人言葉で話し、子どもが興味を持ったなら「そんな難しい言葉はまだ無理よ」などと言わず、どんどん教えてあげましょう。できれば、そこから派生する言葉まで一緒に学んであげましょう。

 たとえば、問題の一部に「今日はお父さんの希望であんこう鍋を食べた」といった記述があるとします。あんこう鍋なんてめったに家庭では食べませんから、「あんこ」と間違ってしまう子どももいます。でも、食べたことはなくても、言葉としてどういうものか知っている子はその問題についていけます。

 また近年の入試では「インスタ映え」「萌え」「SNS」などの流行の言葉の使用も増えています。このように、どんな言葉が出てくるのかわからないのが中学受験。だとしたら、どんな言葉でも覚えさせてあげるのが一番です。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)