開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、「社会の成績を伸ばすコツ」特別に一部を抜粋して紹介する。
「ストーリー暗記」には歴史漫画や大河ドラマ
社会の問題を解くには、覚えなければならないことがたくさんあります。人名や地名などは、それぞれ正確に暗記しなければなりません。
一方で、歴史はストーリーで頭に入れておくことが必要です。中学受験でも、上位校になればなるほど、単純な一問一答では対応できず、流れや時代背景を知っておく必要があります。とはいえ、長い歴史は「覚えよう」として覚えられるものではありません。興味を持って追っていたら、いつの間にか頭に入っていたという状況がつくれればベストです。
そうした大雑把な暗記には、歴史漫画、NHKの大河ドラマなど、子どもが楽しんで学びを得られる材料を用意してあげましょう。たとえば、戦国時代についてわかってきたら、次には開国から現代へ、あるいは遡って平安貴族の時代へと興味の幅が広がっていくことでしょう。そういう素地を、幼い頃にいかにつくるかが大事です。
難関中学入試も暗記で覚える知識の組み合わせ
最近の中学受験の社会では、一問一答の暗記問題は減ってきており、その代わりに、広い視野で世界を見なければならない難解な問題が増えています。
たとえば、2021年の渋谷教育学園渋谷中学校では、感染症をテーマにした問題が出題されました。新型コロナウイルスの話題から始まり、天然痘の流行、ペスト菌の発見、江戸時代末の感染症流行、さらには第一次世界大戦中に発生したスペインかぜまで、1つの問題の中で、広範囲に話題が広がりました。
しかしながら、このような総合力を問う複雑な問題であっても、前提となるさまざまな基礎知識が必須です。国連やWHOの正確な名称、古代の氏族や天皇、ペスト菌を発見した科学者、幕末の条約、外国の首都など、暗記をして知識を頭に入れておかなければ、解答することができません。
このように、暗記した知識で解いていく問題は絶対に出ます。だから、暗記学習から逃げてはなりません。「社会は暗記が必須」と覚悟を決めて、覚えていきましょう。「流れ」と「暗記」を繰り返すことで、間違いなく社会は得意になっていきます。
ちなみに、時事問題のようなホットな話題に強くなるには、テレビのワイドショーが案外、役に立つかもしれません。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)