企業倒産がついに増加、過剰債務の「深刻実態」を東京商工リサーチが解説写真はイメージです Photo:PIXTA

企業倒産は「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」など手厚いコロナ支援策で抑え込まれていた。だが、今年に入り増勢を強めている。2022年度上半期(4~9月)の企業倒産は3141件(前年同期比6.9%増)で、半期推移ではコロナ禍以降で初めて前期を上回った。月別でも2022年4月から9月まで6カ月増加を続け、9月は前年同月比18.6%増の599件と今年最多を記録した。歴史的な低水準が続いた企業倒産が、アフターコロナが視野に入る時期に増勢に転じたのは円安や物価高の影響だけではない。むしろ倒産の封じ込めに効果を見せた支援策の息切れと副作用が、より深刻なリスクに浮上したことを示している。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)

年明け以降にピークを迎える
ゼロゼロ融資の返済

 コロナ関連対策の目玉だったゼロゼロ融資は、コロナ禍で苦しむ企業の資金繰り緩和に大きな効果を見せた。総額56兆円、申請件数200万件以上に及ぶ企業支援は、民間金融機関の取り扱いが2021年3月末で終了。政府系金融機関の取り扱い分も、数回の延長を経てこの9月末で終了した。

 ゼロゼロ融資は、新型コロナで売り上げが減少したという事実さえあれば、間口が大きく開かれた。融資後、最長3年間は都道府県が利子補給し(実質無利子)、信用保証協会の全額保証付きで担保を差し出す必要もない(無担保)。さらに最長5年の返済据え置き期間が設定されている。借り手にとってはこの上ない有利な条件での資金調達だった。

 経営体力の乏しい小・零細企業には高いハードルだった融資審査が、コロナ禍の「非常事態」で事実上、取り払われた。平時であれば融資が難しい「赤字補填」のための借入金も、コロナ禍では融資が受けることができた。