「早食いが体にいい」人もいる?高齢の糖尿病患者にその可能性が浮上した理由写真はイメージです Photo:PIXTA

 一般に「早食いは体に良くない」とされている。しかし、高齢2型糖尿病患者のサルコペニア予防という視点では、そうとは限らない可能性を示唆するデータが報告された。自己申告で「食べるのが速い」と回答した人は、筋肉量の低下速度が緩徐だという。京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科の小林玄樹氏、松下記念病院糖尿病・内分泌科の橋本善隆氏、京都府立医科大学の福井道明氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Nutrition」に6月23日掲載された。

 糖尿病患者に対しては、食欲にまかせた大食いを防いだり、食後高血糖の抑制のために、ゆっくり食べるように勧められることが多い。一方で近年、人口の高齢化に伴い、サルコペニア(筋肉量や筋力の低下)を併発している糖尿病患者が増加し、高血糖による合併症ではなく、サルコペニアが予後を左右するようなケースの増加が指摘されている。サルコペニアの予防や改善には、タンパク質を中心とする栄養素の十分な摂取と、筋力トレーニングが必要とされる。加えて同研究グループでは、摂食速度がサルコペニアリスクと関連があることを、横断研究の結果として既に報告している。ただし、2型糖尿病患者の摂食速度が筋肉量の変化に影響を及ぼすか否かは不明であった。そこで小林氏らは、京都府立医科大学などが外来糖尿病患者を対象に行っている前向きコホート研究「KAMOGAWA-DMコホート」のデータを用いた縦断的解析を行った。