糖尿病の治療で「クマの冬眠」に注目集まる、米国での研究結果とはPhoto Credit: 研究に用いられたハイイログマ(Bob Hubner, Washington State University)

 クマは冬に入る前、大量に食べて体重を増やし、そのあと数カ月間は横になったまま動かないというパターンを毎年繰り返しているが、糖尿病にならない。その理由の一端が、米ワシントン州立大学のBlair Perry氏らによって解明され、「iScience」に9月21日、論文が掲載された。Perry氏によると、ポイントは8種類のタンパク質にあり、それらの働きをより深く追究すれば、いずれヒトの糖尿病の新たな治療法につながることも考えられるとのことだ。

 現在、世界中で増加している2型糖尿病は、血糖を細胞に取り込む際に必要なホルモンである「インスリン」を、適切に使用できなくなって発症する。その結果、血液中の血糖が増加して高血糖になる。このような2型糖尿病の発症前に、多くの場合、細胞のインスリンに対する感受性が低下した「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態を経る。体重の増加と運動不足はともに、インスリン抵抗性と2型糖尿病のリスクを高めてしまう要因だ。