他人から評価されるために必要以上にがんばってしまう。自分で自分を追いつめすぎてストレスでいっぱいだが、どう自分の生き方を見直せばいいかわからない……。そんな人におすすめなのが、2022年10月26日に発売の『私はすべて自分で決める。』(チェ・フン著 李明華訳)だ。会社員である著者は、周りに合わせすぎて、どんな選択が自分のためになるのか、自分がどんな決断を望んでいるかもわからない状態になっていた。そんな著者がどうやって、他人に振り回されることなく、自分の選択と決断に自信を持ち、ポジティブに生きられるようになったのか、その具体的なノウハウを凝縮したのが本書だ。原書の『選択と決定はタイミングだ』は韓国本国で2022年1月に発売され、発売2週間で韓国大手書店で自己啓発ジャンルで1位になるなど注目を集めている。「この本は自分の人生の主役として生きる方法を教えてくれる」「より良い選択をしたいと願う人たちにすすめたい本」など絶賛と共感の声が相次いでいる本書。今回は、本書の発売を記念して特別に本文より一部抜粋、再編集して紹介する。
人から評価されるために生きていませんか?
高校時代、「完璧キム」と呼ばれていた友人がいた。
彼は中産階級以上の家庭で何不自由なく育った。
試験になるといつも「全然勉強していない」と言いながら、私より良い点数をとっていた。
試験のあとで答え合わせをすると「たくさん間違えた」となげくが、実際には多くても2、3個しか間違えていなかった。
学生時代、どの学校にもひとりはいそうな、そんな友人だった。
彼はいつも完璧を求めた。自分が計画し、考えたとおりにならないと癇癪を起こし、ひどく不安がった。
大人になってから偶然、連絡先を知り、彼と会ったことがある。
彼は国内の有名な大企業に勤めていて、私より年収も役職も上だった。周囲の期待を裏切らず、順風満帆な人生を歩んでいるように見えた。
立派な職場に安定した収入、社内でのポジション。はたから見ればうらやましい条件がそろっていた。
しばらくして、そんな彼から突然、電話がかかってきた。最近、悩んでいることがあり、相談したいので一杯やらないかということだった。
「完璧キムが相談? ああいう人にも悩みがあるのか?」と思いながらも、私は彼の話を聞くことにした。
彼の悩みは思った以上に深刻だった。
仕事や人間関係、生活、人生に常に完璧を求めていた彼は、周囲からいつも仕事ができ、人間関係も円滑だと見られてきた。
ところが、時が経てば経つほど、自分が生きてきた人生に疑念を抱くようになっていったという。
「人から評価されるためにもっと完璧に見られなければと、自分自身を追いつめすぎていたんだ」
彼は締切より早く仕事を終えるために、毎日のように残業したせいで生活のリズムが崩れ、ひどい不眠症に悩まされていた。
周囲との円滑な関係を維持できなくなるのが怖くて、相談があると言われれば無理をしてでも時間をつくり、解決できないと頭がおかしくなりそうになるという。
そういう状況なので、誰にも頼れず、助けを求めることもできずに身も心も疲れてしまった、今はただ何もかも投げ出してしまいたいと話す彼に、私はどんな言葉をかけたらいいかわからなかった。