女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」が社会問題化したが、不動産を取り巻く世界では次々に新たな手法が生み出され、被害に遭う人が絶えない。最近では、都心部の新築1棟マンションを自ら施工する不動産投資がひそかにはやり、「キラキラ大家」と呼ばれているが、その手法にはさまざまな問題が潜んでいる。特集『円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛』(全16回)の#2では、その危うい投資手法の全貌を解明する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
高額な会費を取る不動産投資サロン
キラキラ大家、共食い大家にご用心
いつの時代も不動産投資の世界は、不労所得を得たい、安定した老後を送りたい、もうけた金で豪勢な暮らしをしたい、といった欲望が渦巻いている。
実際、不動産投資で巨額の富を得た投資家も少なくない。だが、その一方で、女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」が社会問題化したように、業者の口車に乗って悲惨な目に遭う人も後を絶たない。
むろん、不動産に限った話ではないが、銀行融資を含めた投資金額が億円単位に膨らむ不動産投資においては、ひとたび失敗すれば、人生を棒に振ることにもなりかねない。それだけに慎重になるべきだが、またぞろ欲に目がくらんだ投資家を食い物にする投資手法がはびこっているのだ。
それが、SNS上で話題となっている「キラキラ大家」や「共食い大家」と呼ばれるものだ。
「2、3年の投資期間で数千万円もうかりますよ」との誘い文句の下、主催者自身の不動産投資での成功体験を基に会員を集め、高額なコンサルティングフィーを受け取る。さらに、物件を高値で売り付けたり、仲介手数料を業者から裏で受け取ったりする。いわば不動産投資家サロンというビジネスであり、情報商材などと同じスキームだ。
こうしたスキームは得てして、初期に取り組んだ投資家は利益が出るケースもあるが、会員が増えるに従ってもうからなくなっていくのが常。このスキームも同様で、「もはや終焉が近い」と不動産関係者の間でささやかれている。そして、最後にババをつかまされそうなのが、相続税対策をしたいと考えている世事に疎い富裕層だ。
次ページ以降では、キラキラ大家の不動産投資スキームを明らかにするとともに、物件の質の悪さや不動産投資サロンのもうけの実態などを詳述していこう。