日本と欧州の価値観の違い
自分らしいリーダーシップスタイルを見つける

 入学して初めに感じたのは、日本と欧州の意見の伝え方の違いです。私は高校、大学在学中に2年間海外留学した経験はありますが、もともと日本人らしい性格です。真面目で我慢強く、協調性もある方です。相手の気持ちを考えるので否定的なことははっきり言わずに、婉曲的な表現を使って伝えます。日本人からすると、どちらかというとポジティブに捉えられることでしょう。

 ところが私がリーダーとしていかがなものか、チームメイトからフィードバックを受けると、欧州のチームメイトたちは「仕事をやり遂げるので信頼はできるが、もっと自分の意見をしっかり持って反対の意見の人と議論して戦うべきだ」と言います。

 特に後者の自分の意見を持って議論するスタイルでは欧州で理想のリーダー像からおそらく最も重要だとされているので、リーダーとして認められたければ変えるべきところかもしれません。

 1991年に学校が創立して以来、私は彼らにとって初めて受け入れる日本人の学生です。日本の文化はまったく浸透していないところでは、郷に入れば郷に従うスタイルがスマートかもしれません。しかし、北欧にいるからといって簡単に異文化に染まってもよいのでしょうか。

 私は日本人の「争いを避けて、根回しをしながら意見を伝える」態度が好きです。真っ向から否定せずに、まずは受け入れてそこから考える。ビジネスの現場ではそれが時に賢明な判断であることもありますし、私はそこに日本人の会話の美学を感じています。

 しかし摩擦を避けるために婉曲的に伝えようとすると、ヨーロッパでは「なぜはっきりと言わないのか」と違和感を感じる人が多いようです。ネガティブに捉えられる環境では方向性を変えなければいけません。それでは私のような日本人がグローバルキャリアを築く上で必要になる、自分らしいリーダーシップスタイルとはどのようなものなのでしょうか。