つみたてNISAやiDeCoなどで投資信託を選ぶ時、「今は米国株が低迷していから割合を低めに」「今は株じゃなくて債券でしょ」といたように相場の状況に左右されていないだろうか。投資対象の配分を決める時に気を付けるべきポイントとは?

つみたてNISAは足元の投資環境や相場観により投資対象の配分を決めてはいけない!分散できていると思ったら意外と同じタイプばかりというのはよくある話だ。イラスト:橋本聡

お金の目的に合わせて投資比率を考えること

 結論から言うと、足元の相場環境によって投資信託の資産配分を決めるべきではない。また、「値動きが異なる投資対象の投資信託を複数保有しているからOK!」と考えるのも早計だ。どの投資対象にどれくらい配分するかは、自分の収入や金融資産の状況、投資経験、投資方針などを加味して決定する必要があるからだ。

 たとえば、退職して年金生活が始まっていて資産をなるべく減らしたくない人は、先進国債券を中心にして株式の比率を低くした、低リスク低リターンの配分が望ましい。また、20~30代の若い世代で、長期で資産を増やしたい人なら、債券よりも株式の比率を高めにした高リスク高リターンの配分がオススメだ。

 保有資産全体における投資額の割合によっても、どのくらいリスクを取るべきかは異なってくる。60代でも銀行預金などの安全資産を十分持っているのであれば、一部の資金でリスクの高い投信を買ってもいいだろう。さらに、投資の目的や期間によっても投資先の配分は変えるべきだ。

 一度自分の保有資産を洗い出し、どの程度のリスクを取ることができるのかを考えてみることが大切だ。そして、決めた配分は、投資目的の変化や加齢に伴う変化などがない限り、原則として変えずに継続しよう。

短期の上昇を捉えたい時は一部の資金だけを使うこと

 投資先の配分を決める時に絶対にしてはいけないのが、目先の投資環境や自分の相場観で決めるということだ。

 ちなみに、リオオリンピックが決定した2009年10月前後のブラジルブームに乗せられて、ブラジルの株式や債券の投信を買った人は、その後の相場低迷で資産が大きく目減りしてしまった。

 ただし、中長期の視点で見た時に絶好のチャンスだと思えば、コア資産ではなく、他の一定の資金で機動的に投資するのはありだ(サテライト資産)。

 たとえば、原油価格の急落時に関連の投資信託を買って、適正価格に回復するまでの間だけ投資するなど、臨機応変に投資することで成績アップにつなげることが可能だ。

中長期で好成績の投信を組入れるのもアリ

 投資先の配分を決めたら、次はどの投資信託を買うのかを考える。

 優秀な投資信託とそうではない投資信託の成績の差はバカにできない。投信選びでは、中長期で見た時に優秀な成績の投資信託を選ぶことが大切だ。コストが低いからという理由で、インデックス型投資信託を選ぶのも間違いではない。ただし、長期の成績で、優秀な成績を残している投資信託を選んで分散投資すれば、インデックス型の分散投資を上回る利益を狙うこともできる。

つみたてNISAは足元の投資環境や相場観により投資対象の配分を決めてはいけない!自分の年齢や全体の資産を考えて資産配分を決めること。年齢を重ねていて資産を減らしたくないという人は「堅実型」や「安定型」の資産配分を選ぶべきだ。一方で、まだ若くリスクが取れる人は「積極型」で資産を大きく増やすことを目指そう。
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