つみたてNISAやiDeCoでは投資信託での運用が主流。多くの指南書が日経平均などの指数に連動するインデックス型投資信託を勧めるが、アクティブ型投資信託は選ぶべきではないのか。インデックス型とアクティブ型でどのくらい成績に差があるのか見てみよう。
投資先市場の指数に対して目指すのは連動か勝利か
投資信託をタイプ分けする基準として一般的なのが、株式型、債券型、リート型、バランス型などのように、投資対象で分類するやり方だ。しかし、投資信託を分類する基準は他にもいくつか存在する。
運用方法での分類もその1つだ。
投資信託は運用方法により「インデックス型(パッシブ型)」と「アクティブ型」の2つに分けることができる。
まず最初のインデックス型は、投資信託の成績が市場平均の動き(指数)と同じになる(連動する)ことを目指して運用(連動を目指す指数のことをベンチマークという)するタイプだ。
指数の例としては、日本株の場合では日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)が代表だ。インデックス型は、指数と同じ動きや成績を目指すため、簡単にいえば運用者は指数の構成銘柄をその比率で投資信託に組入れればいい。
そして、もう1つのアクティブ型は、市場平均の成績を上回ることを目指して運用するタイプだ。
運用方法としては、指数を構成する銘柄の中から指数を上回る成績を収めると思われる銘柄の比率を高くしたり、指数に組入れられていない銘柄から上昇が期待できる銘柄を発掘して組入れる。
投資信託の運用担当者が、いい銘柄を選ぶための情報収集や分析を行い、指数の成績を上回ることを目指すのだ。
アクティブ型は高コストだがずば抜けた成績の投資信託も
このように、運用方法により2つのタイプがあるわけだが、運用の手間の違いが2つのタイプの運用コストである信託報酬に大きな影響を与えることになる。
指数とまったく同じ動きの運用を目指すのと指数を上回る成績を目指すのは、習字でいえば手本をなぞり書きするのと白紙に手本より上手に書くというほどの差がある。このため、当然ながらインデックス型の信託報酬は低く、アクティブ型の信託報酬は高くなる。
そして、結果としてインデックス型に負けているアクティブ型のほうが多い。投資信託の運用成績は信託報酬を差引いたうえで計算されている。だから指数と大差ない運用であればそのコスト分、アクティブ型の成績が悪くなるのだ。
しかし! 中には勝っている優秀なアクティブ型も結構ある。これは、高めの信託報酬を上回る成績を上げているということ。たとえば、日本株型の投資信託の2022年3月時点の3年の運用成績を見ると、アクティブ型のトップは99.6%。これに対してインデックス型は36.5%だ。これが運用の差だ。
ただし、アクティブ型の最下位は38.7%。成績のバラツキが大きいのも事実だ。
ちなみに投資対象がまったく同じインデックス投信同士でも成績に差が出ることがある。その場合は信託報酬の差であることが多い。インデックス型ほどコストに気をつけよう。
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