【社説】サルでも分かるエネルギー政策Photo:Mario Tama/gettyimages

 ジョー・バイデン米大統領は、ジミー・カーター元大統領以来最悪のエネルギー政策を進めている。そのため、石油会社の「超過利潤」への課税という、カーター氏が打ち出した最悪のアイデアの一つを復活させることは恐らく避けられなかっただろう。何かに税金をかけると、その何かの生産が減ることを彼は知らないのだろうか?

 修辞的な質問となってしまい、申し訳ない。バイデン氏は10月31日、石油会社が今年、高収益を上げていることについて、「彼らの利益は戦争がもたらした思いがけない産物だ。ウクライナを荒廃させ、世界中の何千万人もの人々を苦しめている残酷な紛争の産物なのだ」と述べた。

 彼らの利益は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻より、バイデン政権の化石燃料に対する戦争に負うところが大きいというのが現実だ。西側諸国の制裁がロシアからの供給に与える影響が不透明だったため、原油価格は開戦時に急騰した。しかし、中国とインドがロシア産原油を割安で購入し続けたために、価格は落ち着いた。一方、市場は各国中央銀行による金融引き締めと中国のロックダウン(都市封鎖)を理由に、世界の経済見通しを下方修正した。