日銀の黒田東彦総裁金融政策決定会合後会見に臨む日銀の黒田東彦総裁 Photo:Bloomberg/gettyimages

黒田総裁会見での見通し
物価は再び2%を下回る

 日本銀行の黒田東彦総裁は、10月の金融政策決定会合後の定例記者会見において、足下で3%程度の消費者物価上昇率が、年末に向けて上昇率を高めるものの、来年度以降は2%を下回る水準になるという従来からの見通しを繰り返した。

 この物価見通しは、今後さらに上方修正される可能性があるものの、黒田総裁は来年度以降物価が再び2%を下回ることが気に入らないようだ。2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するため現在の金融緩和を続けるという基本方針を確認している。

 インフレ率の急上昇に見舞われ、利上げしてもなかなかインフレが落ち着かない状況に悩む欧米の中央銀行からすると、これはぜいたくな悩みと言えよう。

 デフレ脱却というはやりに乗って、インフレ率が2%を超えても鷹揚に構えていたことが失敗だった、と反省している欧米の中銀にしてみれば、物価上昇率が2%を下回ったからといって、それはさしたる問題とは思えないのではないか。