国債暴落で英トラス政権崩壊
「債券自警団」が機能したとの評価も
英国では、国債の暴落をきっかけに、大規模減税策を掲げて就任したばかりのトラス首相が辞任に追い込まれるという予想を超える事態が起きた。
「トラス・ショック」と言われたこの暴落は、政治が経済に大きな問題を引き起こし得る政策を行おうとした際に「債券自警団」が警鐘を発した好例だとの解釈もされている。
政府といえども民間企業や家計と同様な資金調達主体の一つであり、適正な資金使途と調達規模を逸脱した財政支出計画が市場の圧力で修正を迫られるのは、ある意味で健全な自由主義経済の姿といえるだろう。
政府の場合、中央銀行が政府債務(国債)を買い入れることで資金調達ができる点は民間企業とは全く同じではないが、コロナ禍以降、主要国の多くの中銀が国債買い入れをすることが普通になっているなかで、こうしたショックが起きたことが示唆するものは重要だ。
異次元緩和のもと国債市場の機能不全がこのところ“異常な状況”の日本にとって、「トラス・ショック」は全く他人事ではない。