円安は永久には続かない、転換期は2023年春の「日銀総裁人事」になる公算Photo:PIXTA

永久に円安のトレンドが続くことは考えにくい。やや長めの目線で考えると、徐々に円安は修正される可能性がある。そのきっかけの一つは、日銀の金融政策の転換、すなわち黒田東彦総裁の後任人事になる可能性が高い。岸田政権下での日銀審議委員の任命を見ると、政府自身も異次元緩和の継続をより柔軟に考え始めている節が見える。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

円安の反転は来春の日銀総裁人事

 足元で、円安傾向が続いている。8月下旬以降、投機筋はドルを買って円を売り、ドルと円の金利差を取る、いわゆる「円キャリートレード」を増やした。背景には、米国でのジャクソンホール会議後、日米の金利差がさらに拡大するとの見方が増えたことがあった。

 10月21日の海外時間には一時、1ドル=151円94銭まで円安が進んだ。約32年ぶりの円安水準だ。その後、日本側からのドル売り・円買いの大規模介入が入ったとみられ、一時、140円台まで押し戻されたものの、依然としてドル強含みでもみ合いの様相を呈している。

 米国に目をやると、労働市場が過熱気味だ。インフレ鎮静化のためFRB(連邦準備制度理事会)は、今後も金融引き締めを継続せざるを得ないだろう。それに対して日銀は異次元緩和を続ける方針だ。日米の金利差には追加的な拡大圧力がかかりやすい。

 ただ、ドル高・円安トレンドが永久に続くことは考えにくい。やや長めの目線で考えると、いずれ円安トレンドは反転し、円が買い戻される可能性は十分にある。

 その一つのきっかけは、2023年4月の日本銀行の総裁人事になるかもしれない。日銀総裁が変わると、金融政策にも変化が出ることが考えられるからだ。

 最近、産業界をはじめさまざまな分野から異次元緩和への懸念が出始めている。わが国の金融政策が変わると、金利は上昇する可能性が高い。加えて、23年の春先以降、米国が本格的な景気後退に陥ることも懸念される。それが現実味を帯びてくるようだと、日米の金利差は縮小に向かうことになる。ドル高・円安のトレンドに変化が表れることになるかもしれない。