徴用工問題がこじれた経緯

 日韓首脳会談の内容を詳細に報じているメディアが少ないため、早期解決の一致としか決まっていないように思われがちだが、共同通信の報道によれば「年内の決着を視野に入れ、敗訴が確定した日本企業の賠償金を韓国の財団に肩代わりさせる案を軸に協議している」という。しかし文政権時には、韓国政府は日本企業による拠出に加えて世界中から寄付を募るというばかげた案まで検討していたほどだ。韓国財団に肩代わりさせただけでこの問題が終結するとは、到底思えない。

 加えて、今月16日には韓国大統領府の関係者が「双方の解決策が一つか二つに絞り込まれている」と記者団に説明した。具体的な内容は明らかにされていないが、韓国側がこのように発表するということは、日本側が何らかの負担を負うということではないだろうか。

 そもそも、徴用工問題など存在しない。戦前、韓国からやってきた「徴用工」と呼ばれる労働者は、自ら応募してきた人たちだったのだ。国家総動員法が施行される前まで、高い賃金を目当てに学力や年齢を偽って応募した韓国人(当時は日本人だが)が多くいたという。

 57年前の日韓請求権協定をもって解決したはずの徴用工問題。韓国政府がいつまでたっても元徴用工たちに賠償をしないものだから、韓国内は訴訟だらけになっている。これまでに韓国で提起された徴用工訴訟は39件で、原告数は1000人超、被告企業は計115社だ。大法院で日本企業の賠償判決が確定したのは2018年10月確定の日本製鉄(旧新日鉄住金)訴訟1件と、同年11月確定の三菱重工業訴訟2件の計3件である。