韓国のネットを見ると、こうした辛辣(しんらつ)な意見が多かった。中には、今回の尹大統領の外遊の中で最も重要だったこの会談に、マスコミを入れなかったことに腹を立てている国民もいた。事実上マスコミに非公開だった理由は、尹大統領の失言などが露呈するのを防ぐためではないかといわれている。2カ月前の9月、米国に対する尹大統領の悪口がカメラに捉えられて世界中に広まったからだ。

 韓国国民の意見を聞いていると、文政権時代ほど日本に攻撃的な意見は減ったようだ。しかし、「日本は責任を果たした」「韓国内で解決しなければならない」という意見は、全くと言っていいほど見かけなかった。

 日本は十分すぎるほど韓国に誠意を見せてきた。韓国人たちの認識が変わらない限り、岸田首相と尹大統領が努力して“年内に徴用工問題を解決”したところで、両国関係は改善されないだろう。慰安婦問題と同じように、韓国国内から再び合意を破棄すべきだと訴える声が高まり、賠償だ、謝罪だと日本に詰め寄ってくる可能性が高い。

岸田首相のコメントは、過去の合意を白紙にしているのと同じ

 今回の日韓首脳会談は、日本にとってマイナスでしかなかった。岸田首相が尹大統領と年内の決着を視野に入れて協議を進めることを約束したということは、すなわち過去の合意を白紙にすると約束したようなものだ。岸田政権は、国の合意をないがしろにし、日本国民の意見を無視してまで韓国との関係改善を目指しているに等しい。

 徴用工問題は韓国政府や韓国国民が複雑化させた問題だ。日本が関与すべき問題ではない。もはやこの問題は修復不可能なほどまでにこじれてしまっている。そんな問題にむやみに手を出せば、日本が痛手を負うだけだ。

 友好国というものは、国と国とが、そして国民と国民とが同じ方向を向いていないと関係が成り立たない。今の日韓は向いている方向も違えば、目指す方向も違う。

 今は日本も余裕がない状態なのに、外国に支援ばかりする岸田政権には、もう少し国内に目を向けていただきたい。日本国にとって最も重要なものは、日本国民のはずだからだ。