英国のリズ・トラス前首相が9月に中途半端な財政刺激策を打ち出し、激しい国債売りを招いたことに投資家は不快感を示した。だが、リセッション(景気後退)が目前に迫る中、不確かな債務見通しを前提にした緊縮策もまた、投資家が望むものではない。金融市場は、ジェレミー・ハント財務相の17日の議会演説を心待ちにしていた。同氏が報告した英国経済に関する最新分析は、財源の「ブラックホール」に焦点を当てたもので、この額は約550億ポンド(約6兆5000億円)と試算されている。この穴は、今後5年間の増税と歳出削減でほぼ半分ずつ埋める計画だという。英国は、国債市場の混乱の引き金となった減税案の発表前より厳しい緊縮財政を敷き、2008年の金融危機以降で最も大がかりな財政再建にかじを切ることになる。一部のファンドマネジャーは、振り子が逆方向に振れすぎているとの懸念を示している。