経営破たんした暗号資産(仮想通貨)取引所のFTXは、2021年10月の調達ラウンドで多数の著名投資家から4億2000万ドル(約590億円)の資金を集めた。しかしFTXの創業者サム・バンクマンフリード氏はその際、集めた資金のほぼ4分の3相当となる、個人保有の自社株3億ドル分を売却していた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したFTXの財務記録と、この取引に詳しい関係者によって明らかになった。スタートアップの世界では、創業者による株の売却は投資家よりも先に利益を手にすることになるため、歴史的にタブー視されてきた。しかし同氏の株売却は大規模なものだった。関係者によると、バンクマンフリード氏は、その数カ月前に競合のバイナンスが保有するFTX株を買い戻すために同氏が立て替えた費用の一部を払い戻したと当時投資家に話していた。