『週刊ダイヤモンド』12月3日号は「会計士・税理士・社労士 人気資格『豹変』の舞台裏」です。企業が日常的に付き合う会計士・税理士・社会保険労務士はここ数年、法改正やデジタル化、コロナ禍などの地殻変動に翻弄されたことで、これまで顧客企業に見せてこなかった本性をのぞかせ始めています。経済3士業の知られざる実態に迫りました。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
処分増加と監査法人交代の急増
会計エリートが直面する「異変」
「資本市場の番人」
公認会計士には、そんな名誉な呼び名が付けられている。それは、企業などの財務情報の信頼性を保証し、投資家や債権者など資本市場の参加者を保護するという使命を負っているからだ。

司法試験に並ぶ超難関の資格試験を突破したエリートであり、日本経済を支える“縁の下の力持ち”である会計士。社会的責任は極めて大きい。
そんな会計士は今、前例のない異変に直面している。
その一つが、多くの会計士が所属する監査法人に対する行政処分の増加だ。例年、1年間を通じて1件程度の処分だったが、今年は既に3件に上る。
かつては上場企業7社の監査を担っていた仁智監査法人には2022年5月、新規の契約締結に関する業務の1年間停止と業務改善命令という極めて重い処分が下された。この処分が引き金となり、仁智は今年いっぱいで解散する方針を決めた。
他にもUHY東京監査法人に業務改善命令、監査法人大手門会計事務所に業務停止5カ月などの処分が下されている。
もう一つの異変が、上場会社の監査法人交代が急増していることだ。監査法人の合併を除く交代数は21年7月~22年6月に228件と過去最多を更新。さらに足元では、それを上回る勢いで交代が起きている。