「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすること。稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』では、余すことなく珠玉のメソッドを公開しています。受講者は6000人に及び、その9割が成功。さぁ、新しい働き方を手に入れましょう!

【年金蒸発!?】老後の生活のために、いますぐ稼ぎ口を2つにしなさいPhoto: Adobe Stock

2022年は「年金蒸発元年」として記憶される

 11月30日は「年金の日」ですが、2022年は「年金蒸発元年」として記憶されるかもしれません。なぜなら、年金蒸発につながる重大な出来事が立て続けに起きたからです。

 2022年4月から年金受給開始の上限年齢が5歳引き上げられて75歳になりました(年金制度改正法、以後「年金75歳受取可能法」)。この改正に先立って、2021年には70歳までの就業機会確保の努力義務が会社に課せられました(改正高年齢者雇用安定法、以後「70歳就業法」)。いずれも年金受給開始の基準年齢を70歳に引き上げるための伏線です。だから日本年金機構も、年金受給開始年齢を後ろ倒しする準備を着々と進めています。

年金後ろ倒しにより2634万円の老後資金が蒸発する

 年金が65歳から70歳に引き上げられると、私たちが受け取れる年金総額は75%に減ります。日本人の寿命は男女平均で約84歳なので、65歳開始であれば20年もらえたはずですが、5年減ると15年しかもらえなくなるからです(15年÷20年=75%)。

 日本年金機構のデータで試算すると、夫婦2人が受け取れる年金総額は20年間で約5270万円です(21万9593円×12ヵ月×20年=約5270万円*1)。75%に減ると3953万円になるので、蒸発する年金額は1317万に達します。

 今現在、年金受取年齢が60歳から65歳に引き上げられている真っ最中ですが、この分まで合算すると合計で2634万円が蒸発する計算です。

今後の法改正と合計すると2834万円が蒸発する

 それだけではありません。今までは59歳にて年金掛金の支払い義務から解放されましたが、今後は5年伸びて64歳になるとのこと(*2)。2025年以降に法案化される見通しですが、夫婦合わせて200万円の支出増です。

 整理すると、これまでの法改正により年金受取総額が2634万円減り、今後の法改正で年金掛金が約200万円増えるということ。総額で2834万円ですから、ザックリ3000万円近い老後資金が蒸発すことになります。

老後資金は総額で5000万円近く足りない?

 2019年の夏に、老後資金が2000万円足りないというニュースが駆け巡り、日本中が騒然となりました。きっかけは、政府の金融審議会がまとめた「高齢社会における資産形成・管理」というレポートです。このレポートを元に、朝日新聞・日本経済新聞・東京新聞が、「老後資金が2000万円足りない」と報道。ワイドショーで拡散されて、ネットでも炎上し、日比谷公園でデモ集会まで開かれて、麻生大臣がレポートの受け取りを拒否する騒動に発展しました。

 つまり、3000万円近い年金負担増と合わせて、5000万円近い老後資金が足りないということになります。

年金が減り続ける根本原因とは?

 これからも新たな年金削減策が追加されるでしょうから、今後さらに老後資金が減り続けます。自分に非があるのなら諦めもつきますが、根本原因は次の通り国の舵取りに起因しています。

・寿命が伸びたのに、対応が後手後手にまわったこと
・金融政策と経済政策の失敗で少子高齢化に歯止めがかからないこと
・なけなしの年金原資を散財して浪費したこと
・欧米の年金ファンドと比べて資産運用の実績がお粗末だったこと
・元凶を作った団塊の世代を国は見逃してあげて、優雅な老後を謳歌させていること
など……。

 でも、国の財源はすべて私たちの税金が原資なので、国がお金で国民に弁償することは不可能です。日本の年金制度は実情に合わせて改悪できるので破綻しませんが、私たちがとばっちりを受ける未来は避けられないのです。

5000万円貯めても2年で底をつく?

 では、不足分の5000万円弱を、どう補えばよいのでしょうか? 結論から申し上げると、誰も補ってはくれませんので、自分で何とかするしかありません。家計を切り詰めて貯めるか、稼ぎを増やすしかないのです。

 しかし、貯めるだけでは片手落ちです。なぜなら30年間続いたデフレがついに終息し、日本もインフレに突入したからです。インフレ下では通貨の価値が下がって物価が上がるので、5000万円貯められたとしても、30年後には実質500万円くらいの価値しかないかもしれません。500万円では2年分の生活費にしかなりません。

掛金増・受給減の年金に代わる新たな資金源

 そのように考えると、元気なうちは老後も働き続けるという選択肢が一番安全かつ確実だと分かります。

 その際、会社に雇ってもらう働き方は非現実的です。なぜなら法律上、会社には65歳以降も雇用する義務がないからです(前出の「70歳就業法」)。会社は慈善団体ではなく営利法人なので、経済合理的に行動します。

 このように消去法で削っていくと、選択肢はひとつしか残りません。それは、自営型の稼ぎ口を見つけて、自衛するという方法です。

老後資金を確保できる方法は「稼ぎ口二刀流」のみ

 もちろん、だからといって定年後に慌てて仕事を探しても、すぐには見つかりません。

 そこでおすすめしたいのが、現役のうちに2つ目の稼ぎ口を見つけて本業と両立させる「稼ぎ口二刀流」です。「稼ぎ口二刀流」では「稼げるライフワーク」が2つ目の稼ぎ口となるので、新たな生きがいが生まれます。

「稼げるライフワーク」とは雇われない働き方なので、資本家や経営陣から搾取される心配がありません。プライベートカンパニーを活用すれば、所得税や住民税や社会保険料だけでなく、相続税も大幅に減らせます(*3)。しかも、副業禁止規定に違反せずに稼ぐことができます。

 最終的には、ない袖は振れないので、先延ばしをしても国は解決してはくれません。背に腹は代えられない以上、自分で解決するしかないのです。

 そして、唯一の解決策が「稼ぎ口二刀流」なのであれば、自分にふさわしい「稼ぎ口」を一日でも早く見つけた方が得策です。そのきっかけ作りと罪滅ぼしのために、厚生労働省は「年金の日」を作ってくれたのかもしれません。「年金蒸発元年」の「年金の日」こそが、そのための最初の一歩を踏み出すのに最もふさわしい一日となることでしょう。

*1 夫婦2人世帯の平均年金受給額は? 年金だけで暮らす世帯の割合はどれくらい?
*2 納付期間45年へ延長検討 政府、国民年金保険料
*3 節税するならプライベートカンパニーを作りなさい

**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。