まずは自分のマンション内に
充実したコミュニティーを作る

 近隣のマンションと交流を図るには、先に自分のマンション内でコミュニティーを形成することが大切だ。まずは足元から固めるのである。

 これまで数千のマンションに伺った私の結論として、意識の低い管理組合は一様にマンション内にコミュニティーがなく、マンションの管理状況もそれほどよいとは言えない。理事会の活動も通りいっぺんで、管理会社の“お得意様”になっているところは往々にしてこうしたマンションである。

 一方、意識の高い管理組合の大半はしっかりしたコミュニティーが形成されている。そうしたマンションでは、忘年会や新年会、餅つき、お花見、暑気払い、クリスマス会など、季節ごとにイベントを行ったり、総会終了後に懇親会を設ける、消防訓練や防災訓練をお祭り感覚で実施するなど、さまざまな方法で住民同士や理事同士のコミュニケーションを図っているところが多いのだ。

 何も理事でなければ交流ができないというわけではない。たとえば、仲の良い隣近所でゴルフやテニス、映画鑑賞会、音楽会、囲碁・将棋の会、お料理教室、あるいはシルバーの集いなど、どんな内容でもいいので住民同士がコミュニケーションを図るのだ。そうした集まりが、近隣マンションと結びつくきっかけとなることも少なくない。

 ただ、新型コロナの影響で、積極的にコミュニティー形成に取り組んできた管理組合であっても、これまでのような方法は取りにくくなっていることだろう。定例の理事会さえ開催が難しくなっているというマンションもあると思うが、メールやSNSなどを活用して、少なくとも理事同士では意見交換やコミュニケーションを取り続けるように努めていただきたい。

 そして、草むしりや一斉清掃、排水溝・側溝の清掃など、コロナ禍でもあっても、屋外で距離を取りながら安全に行える活動はいくつもある。住民同士のコミュニケーションの機会として、積極的に企画・開催するといいだろう。

 マンションを適切に管理するため、あるいは管理会社と上手に付き合っていくためにも、情報を持っておくことは非常に重要である。ぜひ多くの管理組合でマンション同士のネットワークを築き、「情報交換をするのが当たり前」という文化を形成していっていただきたい。