マンション管理組合は恐ろしいほど「情報不足」、改革の最善策は?写真はイメージです Photo:PIXTA

マンションの共用部分については、全区分所有者が共同で維持・管理する義務がある。そのために組織されるのが管理組合だ。つまり、マンションの数だけ管理組合は存在する。しかし、近隣のマンションの管理組合同士が交流しているという話を聞くことはめったにない。そこで今回は、管理組合同士が交流するメリットとその具体的な交流方法について見ていきたい。(株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士 須藤桂一)

まったくといっていいほど
交流のない管理組合同士

 郊外に行くと、同じ形をした団地型マンション(いわゆる団地)を見かける機会が多い。規模の大きな団地になると、何十棟も建物が立ち並ぶが、そうしたところでは団地内に複数の管理組合が存在していることがある。棟が違えば、竣工年、建物の階数や構造、付帯する設備が異なる場合があり、それによって管理の方法や修繕の時期、内容に差が出てくるため管理組合を分けるほうが、都合がいいからだ。

 同様に、大規模マンションや店舗・事務所などが含まれる複合用途型マンションなどの場合も、マンション内に複数の管理組合が組織されていることが少なくない。

 ところが、同じ団地やマンション内であるにもかかわらず、互いの棟や管理組合の情報が共有されていないことが珍しくない。たとえば、隣の棟の管理組合の理事長が誰で、何人の理事で構成されているのか、管理はどこの管理会社に委託しているのか、管理委託費はいくらなのか、大規模修繕工事はいつ頃を予定しているのか、防災訓練や災害時の備蓄などの対策をしているのか、そうしたことを互いに知っているという管理組合は皆無と言っても過言ではないのだ。

 以前、新築時には一つの管理組合で運営するように考えられていた中規模マンションだったが、さまざまな理由から二つの管理組合に分離してしまったというマンションに伺ったことがあった。もともとが一つだったため、別々の管理組合になった後も、管理室や集会室、掲示板まで一緒に使用していたが、互いにまったく情報交換ができていないという状況だった。

 同じマンション内でもこうした例があるくらいだから、ただ隣接しているだけのマンション同士ならなおさら、互いの情報を知っているとは考えにくい。それほど、マンションの管理組合同士というのは交流がないものなのである。