米雇用市場がこれほどひっ迫している一因は、新型コロナウイルスの流行以降、大手上場企業がすさまじい勢いで人材を採用したことにある。今や多くがその動きを逆転させており、一見すると失業の波が押し寄せているかのようだ。アマゾン・ドット・コムやウォルト・ディズニー、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズはいずれも突然、過剰な採用に気づき、人員を減らし始めている。その影響を受ける人々にとって、失業は恐ろしい。だが雇用市場に関して言えば、こうした人員削減を崩壊に向かう兆しと受け止めるべきではなく、むしろバランスが改善される可能性を示していると考えられる。アマゾンの従業員数は、2019年12月期の証券当局への提出資料によると79万8000人だった。これが2021年末には160万人余りに達した――つまり81万人増えている(ちなみに全米で5番目に小さいノースダコタ州の人口は約75万人だ)。アマゾンの増加幅は、絶対数では最大だったが、従業員を大幅に増やしたのは同社だけではない。メタは同じ期間に4万4942人から7万1970人に増員し、今年7-9月期末時点で8万7314人に達していた。同じく人員削減を発表したセールスフォースは、2020年1月期の従業員数が4万9000人だったが、7万3541人に増えていた。
米巨大企業の人員削減、雇用市場にはプラスかも
市場全体のバランスが良くなる可能性がある
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