経営コンサルタントの神田昌典氏が、アメリカで百年以上続く売れるコピーライティング技術を日本で普及させ、はや25年。その集大成が『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』だ。東証プライム上場社長で現役マーケッターの木下社長が、「3520円はタダみたいなものだ」と強力推薦する本が話題になっている。スマホ時代に完全対応し、従来のコピーライティング書の常識を凌駕する本書のポイントを抜粋して紹介する。

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「親近感」が重要な理由

 LP・セールスレターで、「親近感」はとても重要な要素だ。

 顧客に親近感を持ってもらえれば、「これは自分に向けられたメッセージだ」と受け取ってもらえ、書き手 vs 読み手、売り手 vs 買い手という関係から「仲間・友人」という関係性を築けるようになる。

 それが信頼感につながり、購入時の売り手に対する不信感を軽減できる。

 LP・セールスレターの早い段階、つまりオープニングで親近感を持ってもらえれば最高だ。

 ポイントは、読み手が抱えている問題や状況がとても困難であることを、書き手が十分わかっていると伝えることだ。

8つのアプローチ

 具体的には、8つのアプローチがある。

1)親しい友人にメールを出す気持ちで、顧客に文章を書く
2)読み手の、いままでの失敗を正当化する
3)読み手と共通の敵を想定する
4)自分の失敗や恥ずかしい秘密を打ち明ける
5)自分の家族や友人の噂話を共有する
6)絶体絶命の大危機から大成功する、一発逆転ストーリーを語る
7)専門家でないと知らない、専門用語を使う箇所がある
8)顧客の社会的地位と、同じ地位に並んでいる印象を与える

(出所:『売れるコピーライティング単語帖』)

 それぞれコツを解説する。

 1)はペルソナ設定(本書271ページ)で述べた、「話すように書く
 2)と3)は後述する
 4)と6)は、本書で詳しく紹介した「ピアノコピー」や「2人の若者」のようなストーリーで始める
 5)はパーソナルな内容になりすぎないよう注意する
 7)と8)は「顧客の頭の中にある言葉」(本書274ページ)を使う

「共通の敵」とは何か

 上記で難しいのは、2)の「正当化」と3)の「共通の敵」だ。

 「共通の敵」はロバート・B・チャルディーニが書いた世界的ロングセラー『影響力の武器[第三版]──なぜ、人は動かされるのか』(社会行動研究会訳、誠信書房)で紹介されている概念だ。

 「共通の敵」とは、読み手と書き手以外の第三者を悪者=「敵」に仕立て、その敵を一緒に攻撃して一体感を出す手法だ。

 通常は「書き手 vs 読み手」という1対1の関係だが、

【効果絶大】一瞬にして親近感が生まれる「正当化」と「共通の敵」の技術

 これを、「(書き手+読み手) vs 第三者」という2対1の構図をつくり上げる。

 すると、「あなたと私」あるいは「私たち(We)」vs「敵」という関係性ができ、親近感が生まれやすくなる。

【効果絶大】一瞬にして親近感が生まれる「正当化」と「共通の敵」の技術

 ここでの「敵」は必ずしも人やモノである必要はない

 特定の個人や会社、商品よりも、制度や仕組み、慣習などを「共通の敵」にしたほうが違和感や反感が少ない。

 たとえば、大学入試や年金などの「制度」だ。

 他にも、以前、東京都知事が環境問題からディーゼル車を敵に回し、その規制を訴えたことがあった。

 「ディーゼル車は環境を破壊します!」

 と表現せず、

 「ディーゼル車の毒煙から、子どもたちを守ろう!

 とすることで、訴えている人と聞いている人がディーゼル車という「共通の敵」に立ち向かう構図ができるわけだ。

 そして、「共通の敵」とセットにすると効果的なのが「正当化」だ。

 これは、今まであなたがうまくいかなかったのは、あなたが悪いわけではない。他に原因となる悪いものがあったからだと主張する方法だ。

 ダイエットがうまくいかないのは、食事制限が足りないのではなく、代謝のせいかもしれません。

 老後の生活に不安があるのは、あなたの資産運用に問題があるのではなく、今の年金制度自体に問題があるからなのです。

 この後、年金制度の問題点を列挙していけば、読み手の怒りを表現できる。「悪いのはこいつだ!」と「共通の敵」が見えたところで、解決策を提示すれば、こちらの提案も受け入れてもらいやすくなる。

 ただ、これはある種の劇薬なので、「共通の敵」の設定を間違えると、反発を買い、不必要な敵を生み出すことになる。使用上の注意が必要だ。

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【効果絶大】一瞬にして親近感が生まれる「正当化」と「共通の敵」の技術

(本原稿は、発売たちまち大重版となった、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)