経営コンサルタントの神田昌典氏が、アメリカで百年以上続く売れるコピーライティング技術を日本で普及させ、はや25年。その集大成が『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』だ。東証プライム上場社長で現役マーケッターの木下社長が、「3520円はタダみたいなものだ」と強力推薦する本が話題になっている。スマホ時代に完全対応し、従来のコピーライティング書の常識を凌駕する本書のポイントを抜粋して紹介する。
人を動かす要素の中で、最もシンプルな組合せが次の3つだ。
・共感
・数値
・権威
人を動かす第1要素「共感」
読み手に「共感」が起こると、「これは自分のためのものだ」と感じてもらいやすい。
「PASONAの法則」(本書184ページ)では「Affinity(親近)」がこれにあたるが、必ずしも文章の内容だけではない。
文章全体のトーンや画像、レイアウトなども共感に直結する。
ターゲットが読む雑誌や、サイト画像のトーンやレイアウトを研究することで、読み手が「見慣れた」印象になり、親近感が湧きやすくなる。
「共感」と「親近感」はほぼ同義だが、あえて違いをいえば、共感は「他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く同じように感じたり理解したりすること。同感」(『広辞苑 第七版』)であり、親近感は、「身近なものとしての親しみの感じ」(同上)ということ。共感のほうが納得感があるが、あまりナーバスに考えすぎなくていい。
人を動かす第2要素「数値」
次に、人を動かす第2の要素、「数値」を見ていく。
数値や図表で事実を伝えることで、その商品・サービスのすごさが読み手に伝わる。
たくさんの人にご購入いただいております。
より、
14,326人が購入済(2021年1月30日現在)
のほうが信頼性も高くなる。
「たくさんの」「数多くの」「驚異の購入数」「信じられない人数」などは、いずれも書き手の主観なので、客観的な読み手にはあまり伝わらない。
数値を使う際は、「23.2%」を「23%」や「20%以上」としてはいけない。
そのままのほうがリアリティが出る。
精緻な数値がある場合は、そのまま出す(本当は23%なのに23.2%のほうが信頼性がありそうだから、そうするのはNG。あくまでも事実ベースが基本)。
数値をうまく使うとインパクトが出るが、注意すべきことがある。
それは、「使う場所」と「見せ方」だ。
数値を表やグラフなどのデータで表示すると、読み手にロジカルな印象を与えやすい。すると、感情より論理が優先してしまい、行動につながらないときがある。
人が購買決定をするのは、論理よりも感情が優先すると考えられている。そして、アメリカの有名なコピーライターの一人である、ダン・S・ケネディ(1954~2020)は、次のように言っている。
「何のビジネスであれ、どんな見込客や顧客であれ、買うのは感情、それから、自分の選択を理屈で正当化する」(『究極のセールスレター』)。
購買決定を感情でするのは間違いないが、論理的な説明がまったく必要ないのかというとそうではない。
あくまでもバランスが大事で、より重要なのは「感情」ということだ。
購買決定に至るプロセスの説明が論理的でないと、「すごいんです、すごいんです」とあおっているだけになる。
「うわ、これほしい」と思った後に、購入することはあなたにとって正しい選択なのだ、必要な選択なのだという理屈にあと押しされる形で、納得して購入できるのだ。
だから、ヘッドラインやオープニングなど、最初の部分は「感情」にウエイトを置いたほうがいい。いきなり論理的に始めるのはNG。
図表やグラフも早い段階で出さないほうがいい。見た瞬間、論理的な脳にスイッチしてしまうからだ。これが、「使う場所」に注意が必要ということなのだ。
また、データやグラフは最適なタイミングで適量使っている分にはいいが、多用すると「理屈っぽさ」が出て、特に女性に敬遠されることがある。
たまに生データを延々と掲載しているLPがある。B to B(企業間の取引)のケースで、生データ自体をじっくり見てほしい場合はいいのだが、一般的にデータを出す際には、生データではなく、右ページのように「視覚的」にわかりやすくするのがポイントだ。
ここでは、1冊の場合、2冊の場合、3冊、4冊、5冊など細かなデータを載せるのではなく、くくれるところをくくってシンプルにわかりやすくしている。
人を動かす第3要素「権威」
最後に人を動かす第3の要素が「権威」だ。
権威は読み手の信頼感につながる。受賞歴など、商品・サービス自体の権威はもちろんのこと、その商品・サービスを売っている、会社や人の権威も有効だ。
たとえば、資格、国からの許認可、著書、マスコミ掲載・出演、社歴、実績件数、著名人の推薦などがある。
中央グリーン開発株式会社は、本書245ページのポジショニングで解説した「No.1」と同時に「グッドデザイン賞」受賞をPRしている。
ただ、権威になるかどうかは、規模や知名度によって変わってくる。
著書でもAmazon限定の自費出版だと、市販書籍に比べて権威性は劣る。
同じ自費出版でもAmazonで「ジャンルベストセラー1位」になったら権威性が生まれる。社歴も創業百年だと権威につながるが、創業4年ではまったく権威がない。権威のポイントは、いかに読み手に「すごそう」という印象を与えられるかどうかだ。
PS.1.『コピーライティング技術大全』の活用法を解説したセミナー動画をご覧いただけます。
(この動画は予告なく終了することがあります)
PS.2.本書の巻頭・巻末には、あなたの売上を劇的に上げる4つの最強の武器…【PMMサーチシート】【PMMセルフチェックシート】【「BTRNUTSS」見出しチェッカー】【PASBECONAテンプレート】を書籍初公開しました。
そしてこのたび、【広告評価プログラム】について特許を取得しました。
これら4つの武器は、四半世紀の叡智を凝縮したもので、即効性と再現性が担保されています。
(本原稿は、発売たちまち大重版となった、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)