「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすること。稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』では、余すことなく珠玉のメソッドを公開しています。受講者は6000人に及び、その9割が成功。さぁ、新しい働き方を手に入れましょう!

「FIRE卒業」がトレンド入り。「FIRE」より「やりたい仕事で稼ぐ」を選ぶ人、増えるPhoto: Adobe Stock

インフレ下での「FIRE」は大火傷のもと

 一世を風靡した「FIRE」ですが、卒業する人が続出し、SNSでは「FIRE卒業」がトレンド入りしました(*1)

「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」とは、爪に火をともす節約生活でお金を貯め、貯めたお金の運用益で生活費を捻出して、働かずに生きていく生活スタイルです。『FIRE 最強の早期リタイア術』が火付け役となり、一大ムーブメントが世界中で発生しました。

 ところがここにきて、「FIRE」に適さない時期があることが判明。それがインフレ期と金融相場下落時です。いまその真っ只中ですが、そんな時期に「FIRE」を続けたら、家計が火の車になりかねません。

伏兵は「インフレ」と「株安」

 きっかけは、米国発の急激なインフレでした。インフレとは、お金の価値が減って物価が上がる現象です。リタイア時に30万円/月で生活できたとしても、その後の物価高で40万円/月かかるようになれば、前提条件が大幅に狂います。

 これに追い打ちをかけたのが、金融相場の下落です。インフレ退治のために金融が引き締められ、世界中で株と債権と通貨が下落しました。見込んでいた運用益30万円/月が20万円/月に減ったとしたら、生活が成り立ちません。

 このようにインフレで支出が急増し、下落相場で収入が激減したために、働かずに生活することが難しくなったというわけです。背に腹は代えられませんから、「FIRE」を中退して、働き始めるしかありません。

「FIRE」は「憧れ」に始まって「退屈」で終わる

「FIRE」中退を余儀なくされるケースだけでなく、自らすすんで卒業するケースも増えているそうです。「FIRE」ブームはアメリカでは2014年、日本では2020年に始まりましたが、やって初めて気づくことがあります。その代表例が、「働かない生活は退屈」だということです。

 恥ずかしながら私も「働かない生活」で後悔した人間の一人です。サラリーマンをセミリタイアしたとき、自由を手に入れた喜びを噛み締めながら、ひそかに舞い上がっていました。そして、喜び勇んで始めたのが、「憧れ」のリゾート生活でした。

 ところが、楽しかったのは最初の2週間だけ。観光地にもビーチにもショッピングモールにも行き尽くし、3週間目からは暇を持て余します。持参した本も読み切ってしまい、4週間目でやることがなくなってしまったのです。何のためにハワイに住んでいるのか、自分でもわけがわからなくなりました。

働かない生活を続けると老化が早まる

 働かない生活を続けると、暇を持て余すだけでなく、急速に老け込みます。定年後のサラリーマンが典型例でしょう。私の銀行員時代の上司を見ると、ハツラツとしていたのは退職後しばらくの間だけ。新たな生きがいを見つけられない人は、居場所を失って公園や図書館で時間をつぶすうちに、老け込んでいきます。農作業や自営業などで生涯現役で働く元気なお年寄りと比べると、その差は歴然です。

「やらされ仕事」だから辛く感じる

 だからといって我慢して、「やりたくない仕事」を続けなさい、という意味ではありません。サラリーマンの仕事が辛いのは、それが「やらされ仕事」だからです。「FIRE」がブームになったのは、そんな「やらされ仕事」から解放されるからです。

 ところが長年サラリーマンを続けると、「やらされ仕事=辛いこと」のはずが、「すべての仕事=辛いこと」だと勘違いしてしまう。その証拠に、「やりたい仕事」に就いているサラリーマンは、「FIRE」したいなんて少しも思いません。

 そこでおすすめしたいのが、「FIRE」の代わりに『稼げるライフワーク』という「やりたい仕事」を始めることです。いきなり独立するのではなく、サラリーマンを続けながら「稼げるライフワーク」と両立します。「稼げるライフワーク」が見つかると、やり甲斐が生まれて、節税しながら収入を増やせて、老後の不安もなくなります。副業禁止規定に違反する心配もありません。

 このように、本業と「稼げるライフワーク」とを両立するメソッドを「稼ぎ口二刀流」といいます。金融相場が不安定でインフレが収まらない今の時代は、「稼ぎ口二刀流」一択です。「FIRE」に向かない人ほど「稼ぎ口二刀流」に向いています。「FIRE」に挫折した人、「FIRE」に興味を持てなかった人にとっては朗報です。まずは小さな一歩から試してみませんか。

*1 「FIRE卒業」再び働く人が増加 “火だるま”市場乱高下で大損…米国でも続出

**本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。