米利上げ減速との見方が増加
来年の利上げ停止が視野に

 米利上げペースの予想は、11月以降に大きく振れた。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、11月2日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、「前回会合以降に入手したデータは、金利の最終的な水準が従来の想定より高くなることを示唆している」、「利上げの停止について考えるのはあまりに時期尚早だ」と発言した。米金利市場は、政策金利の天井が5%を上回ることを織り込んだ。

 しかし、11月10日に発表された10月の米CPIが市場予測に比べて下振れると、米金利市場が予測する政策金利の天井は、5%以下に下方修正された。米金利市場は、12月のFOMCでの利上げ幅が、過去4会合の0.75%から0.5%に減速すると織り込んでいる。

 パウエルFRB議長は、11月30日の講演で、「利上げペースを落とす時期は早ければ12月の会合になる可能性がある」と発言した。また、利上げの天井について、「9月の見通しを幾分か上回る公算が大きい」と再び述べた。9月FOMCで示されたFOMCメンバー全員の2023年末の政策金利予想をみると、最も高いのは4.875%だった。12月のFOMCで政策金利予想が上方修正されたとしても、米政策金利の天井は5%台前半までとなろう。

 FOMCが政策金利を5.25-5.50%まで引き上げると仮定しても、現行水準から1.5%の利上げとなる。12月のFOMCが0.5%利上げならば、来年の2月、3月、5月、6月の会合で残り1%の利上げを使いきれば、利上げは止まる計算となる。来年前半の利上げ停止が視野に入っている。