行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は花王、資生堂、ユニ・チャームの「生活用品」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
生活用品3社がそろって2桁増収
資生堂には復活の兆し
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の生活用品業界3社。対象期間は22年5~9月の直近四半期としている(3社とも22年7~9月期)。
各社の増収率は、以下の通りだった。
・花王
増収率:13.9%(四半期の売上高3938億円)
・資生堂
増収率:15.6%(四半期の売上高2693億円)
・ユニ・チャーム
増収率:19.5%(四半期の売上高2329億円)
生活用品3社は、いずれも前年同期比で増収となった。中でもユニ・チャームは、3四半期連続で2桁増収を成し遂げ、22年1~9月期の累計売上高は過去最高を更新した。
さらに、これまで不振にあえいでいた資生堂の復調ぶりも目立った。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う化粧品需要の低迷が長引いた影響で、資生堂の22年1~3月期決算は前年同期比で1.3%の減収だった。
22年4~6月期はプラスに転じたものの、増収幅は1%未満にとどまり、22年上半期(1~6月)の累計売上高は前年同期比0.4%減となっていた。
そこから一転、22年7~9月期は15%超の増収を成し遂げたことで、長らく苦戦していた資生堂の株価は復調の兆しを見せている。
21年6月に8300円台を付けた同社株だが、今春に6000円台を割り込み、9~10月には5000円を下回る場面もあった。だが、11月10日の決算発表を機に急上昇。12月上旬の本稿執筆時点では6000円を上回る水準まで回復している。
ただし利益面に目を向けると、花王も資生堂もユニ・チャームも「油断大敵」といえる状況だ。
資生堂とユニ・チャームの好調の要因は何か。各社の利益面はどのような状況にあるのか。次ページで、時系列データを踏まえて詳しく解説する。