全国2700社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。(初出:2022年3月2日)

頭のいい人、頭の悪い人を分ける「ちょっとした言い方の違い」【書籍オンライン編集部セレクション/2022年年間ベストセラー記念】Photo: Adobe Stock

「主観で話す人」と「客観で話す人」

 みなさんは、頭の中で、いったん「数字」を考えることができるでしょうか。

 頭のいい人は、数字でモノを考え、客観的に話すことができます。

 気をつけるポイントとして、「形容詞、形容動詞」や「副詞」に注意してください。

形容詞、形容動詞(「早い・遅い」「好き・嫌い」「良い・悪い」など)
副詞(「よく」「とても」「もっと」「すごく」「かなり」など)

 これらはいずれも、主観的な言葉であり、客観性がありません。

 頭の悪い言い方「あの店がとても好きです」(主観)
 頭のいい言い方「あの店は週2回通っているほど好きです」(客観)

 前者は主観だけの言葉です。後者は、誰が見ても明らかな事実を語っています。週2回という事実が「好き」という主観を補うデータになっているという関係です。

「好き」と口では言っておきながら、1年以上もその店に行っていないのなら、たぶん本当に好きではありません。つまり、「好き」には客観的なデータがないということです。

「曖昧な表現」を「数字」に置き換えるだけ

 ということで、次の曖昧な言い方を数字の入った表現に変えてみましょう。

×「もっとダイエットする」
×「すごく仲良くなる」
×「なるべく早く提出する」

 さて、どうでしょう。

 例を挙げると、次のようになります。

○「ダイエットをして体脂肪率15%を下回る」
○「1日1回は話しかけて仲良くなる」
○「14時の締切に間に合うように提出する」

 このように、数字を入れることで、誰にでも誤解なく伝えることができ、物事が前に進むようになります。

数字は「壁」を越える

 また、数字は世界共通の言語でもあります。

 そのため、ある業界のことを、その業界を知らない相手にも理解させることができます。

 たとえば、

×「この本がベストセラーになってすごい」

 と言われても、どれだけすごいのかがわかりません。

 これが、

○「1500円の本が10万部売れて、売上が1億円を超えている。毎日200冊の新刊が出るけれど、10万部を超えるものは1%にも満たない」

 と言うと、誰にでもそのすごさを伝えることができます。数字に置き換えることで業界を横断して誰にでも理解させることができるのです。

 曖昧な言い方をするクセをやめて、数字で言い換えること、数字で表現することをクセづけましょう。

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2022年3月現在で、約2700社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、29万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。